公開日:2023年8月3日

更新日:2024年4月17日

現在、多くの企業が「DX化」を推進することにメリットを感じ、導入しています。
しかし、現状ではIT人材不足などの課題を抱えており、導入が成功していない企業も少なくありません。この課題の解決策やDX化のメリット、IT化との違いなどをわかりやすく紹介します。
「DX化とはなにか」という基礎から解説するので、これから導入を検討する方もぜひご覧ください。

目次

DX化とは?

「DX化」は一般的にDXを推進すること、というニュアンスで使われています。DX(ディーエックス)とは、「デジタルトランスフォーメーション」の略です。2004年にエリック・ストールターマン教授が提唱した概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義されています。

また、経済産業省の「DX推進ガイドライン」の定義は以下の通りです。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
(出典:経済産業省:「DX推進ガイドライン Ver. 1.0」より)

近年、多くの企業からDX、DX化というキーワードが盛んに発信されています。

しかし、現状は技術を導入するところまでに留まり、活用に苦心している企業も少なくありません。DX化を推進するためにはデータやデジタル技術を導入するだけでなく、ビジネスモデルや組織の変革、それによる競争の優位性を確立するまでセットで考える必要があります。

DX化が注目・推進されている理由と背景

2018年、経済産業省は「DXレポート~ITシステム“2025年の崖”の克服とDXの本格的な展開~」の中で、DXを推進していかなければ2025年を節目として多くの企業に経済損失が生じる可能性があることを示しました。

これは通称「2025年の崖」として多くのビジネスパーソンに知られています。
これ以来、企業はDX化に真剣に取り組まなければならないという機運が一気に高まったのです。

その後、2020年には「DXレポート2」が発行され、新型コロナによるパンデミックによって浮き彫りになった新たな課題について述べられました。
こちらには、コロナ禍によりDXに素早く対応できているかが企業価値に大きく影響すること、ただITシステムを取り入れるだけでなく企業文化を根本から変革することが大切であることが書かれています。

今や、企業の競争力向上のためにDX化は必須の時代になりました。国もさまざまな施策によってDX化を後押ししています。国が主導で行っている施策には「IT導入補助金」や「事業再構築補助金」、「中小企業デジタル化応援隊事業」、「戦略的基盤技術高度化支援事業」などがあり、東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」のように自治体の規模でも支援施策が用意されています。

さらに、2020年から蔓延している新型コロナウイルスの影響やSDGsへ関心の高まりから、非対面や省エネを可能とするDX化はますます注目を集めています。

DX化とデジタル化・IT化の違いとは?

DX化をデジタル化やIT化は一見似た言葉ですが、実は異なります。その違いはそれぞれの目的を考えることで理解できます。

DX化とデジタル化の違い

「デジタル化」とは、既存のアナログシステムをデジタルに移行して、効率化を図ることです。例えば、紙で行っていた作業を電子にしてペーパーレス化する、電話やFAXなどの伝達手段をメールやチャット、ビデオ会議システムに置き換えるなどはすべてデジタル化に当てはまります。またデジタル庁による、デジタル社会の定義は「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」です。

技術を導入することで作業を効率よくすることが目的のデジタル化に対し、DX化はデジタル化を積み重ねた先にある企業や組織の優位性の確立がゴールです。デジタル化はDX化を進めるための手段の一つともいえるでしょう。

DX化とIT化の違い

「IT化」とは、既存の業務プロセスを「IT技術」を活用して効率化することです。IT化の目的は、ITの仕組みを利用して情報を整理し、既存のやり方をより良くすることといえます。書類をクラウド管理するといった例はデジタル化と似ていますが、インターネットを高速化するなど、必ずしもアナログからの移行ではない点が特徴です。

一方、DX化は社会や組織・ビジネスの仕組みそのものの変革を目的としています。IT化で整理できる仕組みを合わせて、より大きなものを変えていくことがゴールです。IT化もデジタル化と同様、DX化を進めるための手段の一つといえるでしょう。

DX化するメリット・デメリット(課題)


DXは今後さらに進むと予想されますが、DX化によってビジネスの現場にはどの様なメリット・デメリットがもたらされるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

DX化のメリット

◆生産性の向上、コスト削減につながる

最大のメリットは生産性の向上とそれに伴う各種コストの削減です。システムの導入によって業務の一部が自動化されると、人間によるミスも回避でき、効率化につながります。効率化されると同じ時間でより多くの業務を実現できるため、過剰な人員配置をする必要もありません。人件費やかかる工数が削減することを考えると、長期的に見てコスト削減につながるといえます。

◆市場や環境の変化に柔軟に対応できる

スマホやタブレットの普及により、消費者のニーズや行動は多様化し、目まぐるしく変化しています。DX化を進めることでその変化に柔軟に対応することができるため、DXを導入していない企業と比べて優位性を確立できるでしょう。データを活用せず、長年の勘を頼りに意思決定をすると、消費者のニーズと合わず大きな損失を生む可能性があります。

◆BCP(事業継続計画)の充実

BCPとは災害やシステム障害、テロなど不測の事態が発生した場合に影響を最小限に留め、早期に回復、事業や通常業務を継続するための計画のことです。2020年に蔓延した新型コロナウイルスはまさに不測の事態であり、DX化の典型であるクラウド化やテレワーク化の整備は、感染対策しながら事業を継続する手段としてBCPに欠かせないものとなりました。このように、DX化は危機的状況に陥ったとしても柔軟な対応ができる手段としてBCPを充実させることができます。

◆新たな事業やサービスが生まれやすくなる

DX化することで顧客のニーズや行動をより細やかに、リアルタイムで知ることができるようになり、集めたデータをよりスピーディに解析できるようになるため、新しい事業やサービスが開発しやすくなります。また、人材確保・育成の観点でもDX化によって各人の効率的な能力アップも期待できるので、それが新たな事業やサービス創出につながることも予想できます。

DX化のデメリット

◆初期投資する必要がある

ITツールなどの導入費用や維持費用が発生するので、コストがかかります。DX化はすぐに効果が出るものではなく長い目で見る必要があるため、その分ランニングコストも大きく見積もる必要があります。DXを導入、運用する人材の確保やレガシーシステムからの脱却にもコストがかかります。ある程度の初期資金が必要になるということを押さえておきましょう。

◆DX人材を確保する必要がある

日本においてDXを推進できる人材は、経営層と現場どちらにおいても不足しています。そのため、DX人材を社内に確保できない企業が多いのが現状です。システムを内製、運用する人材の確保が難しいためITベンダーに頼る企業も多くあります。長い目でDX化を成功へ導くためには社内での人材の育成にも労力をかける必要があります。

◆組織の理解を得る必要がある

DXは言葉通り「改革」を意味します。既存の仕組みやシステムを変えていくため、実務を行う社内の理解を得る必要があります。DX化の変革は大きいため、ときには社内に大きな反発を生む可能性もあるでしょう。「なぜDX化が必要なのか」ということを社員にしっかり落とし込み、社内全体で取り組むことが重要です。

DX化を成功させるためのポイント

ジールのDX化事例

ジールでは数多くの企業のDX化を支援してきました。その中でも代表的な3社を紹介します。

●旭化成株式会社/たった1ヶ月でプロトタイプを構築

課題
・データ分散による情報のサイロ化
・データ連携に要する膨大な時間とコスト
・データ連携に伴う運用負荷の増大

「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」という企業理念を掲げ、マテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域でビジネスを展開している旭化成。旭化成グループ内の膨大なシステムの統合と活用に課題を感じていたタイミングで、ジールが提供するクラウドサービス「Microsoft Azure」を導入いただきました。
ノウハウと技術力、サポート体制に裏付けされる着実な推進力、アジャイル型開発による低コストかつスピーディな進行、内製化を見越した伴走が決め手でした。
結果的にスケジュール通りに稼働し始めることに成功。素早く、しかしニーズに確かに合ったシステムの構築に成功しています。

旭化成株式会社の導入事例について詳しく見る

 

●株式会社大林組/PoCから導入まで一括で支援

課題
・手作業によるデータ集計
・各部門に最適化したシステムの構築によるデータの分散

現在の東京駅をはじめ、六本木ヒルズ、東京湾アクアラインなど、100年以上にわたり社会インフラの整備に貢献してきた大林組。各部門でシステムを構築していたことでデータが分散してしまい、またデータの正確性にも疑問が残る状態が続いていました。

そこで選ばれたのが、BI分野での実績が豊富な「Denodo」。論理データウェアハウスを構築し、権限のあるユーザーにのみ公開する「データのオープン化」の実現を重視しPoCで検証しました。その結果、データの物理的な移動なしに統合することに成功。すべてのユーザーがリアルタイムでデータ活用を行うための基盤が構築できました。

株式会社大林組の導入事例について詳しく見る

 

●住友理工株式会社/現場レベルの知識量を増やすことでDX化の可能性を拡大

課題
・データ量の増大に伴うExcelベースの分析業務の限界

自動車、インフラ・住環境、エレクトロニクス、ヘルスケアの4領域でビジネスを展開し、常に時代に即した高い付加価値を持つ製品を生み出してきた住友理工。自分のペースで学習できるeラーニングオンラインサービス「DX-Learning Room」の導入により、データ活用に必要なデータの見方や仮説の立て方などを現場のエンジニアに浸透させることができました。その後、他部署のメンバーも「DX-Learning Room」を受講。

データ活用の知識を自身の業務に活かし、より効率的な仕組みを構築するなど、社内全体のデータ領域における可能性の拡大につながりました。

住友理工株式会社の導入事例について詳しく見る

 

●セロリー株式会社/営業力強化に必要不可欠なデータ活用の高度化と効率化

課題
・提案書作成の効率化
・スモールスタートにより段階的な導入・拡充

ユニフォームの商品企画・製造・販売を手がける老舗メーカーのセロリーは、営業力強化に必要不可欠なデータ活用の高度化と効率化を目指し、ジールのクラウド型データ分析基盤「ZEUSCloud」を導入しました。これにより、データの抽出やExcelの2次加工などの作業が不要となり、営業担当者の業務効率の向上につながりました。

セロリー株式会社の導入事例について詳しく見る

 

DX化は企業の更なる成長のために必要である

DX化には業務の効率化のみならず多くのメリットがあります。コストはかかりますが、DX化を成功すれば、長期的に見てかけた以上の利益として返ってくるでしょう。DX化は企業の更なる成長のために必要不可欠なものといえます。

特に国内全体では、不足している人材の採用や育成に力を入れる必要がありますが、並行して外部の力を使い推進を進めていくのが現実的です。

ジールでは日本企業のDX実現を支援しています。これまでに1000社以上の豊富な支援実績とノウハウをもとに、あなたの会社が抱えている課題を解決できます。これからDXを推進しようと検討している企業の方はご相談をください。

 

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