2023年11月28日(火)に、株式会社primeNumber主催の「01(zeroONE)2023」が開催されました。そのイベントにて、株式会社ユナイテッドアローズ中井さんと株式会社ジールの高橋による、『データ価値を顧客への提供価値に転換する方法』についてのセッションが配信されました。ユナイテッドアローズ様における、データ価値を顧客への提供価値に転換する方法として、データ戦略の課題やご要望など、講演の内容をまとめたレポートになります。

 

イベント概要

【イベント名】 01(zeroONE) 2023
【開催日時】 2023年11月28日(火)
【開催形式】 オンライン(EventHub)
【主催】 株式会社primeNumber 
  引用元:https://01.primenumber.co.jp/event/2023/#OUTLINE

 


引用元:https://01.primenumber.co.jp/event/2023/

 

「01(zeroONE)2023」ジール講演

今回ジールからは、「データ価値を顧客への提供価値に転換する方法」と題し、 有名セレクトショップを運営する株式会社ユナイテッドアローズ様の導入支援における、データ活用について講演しました。


引用元:https://01.primenumber.co.jp/event/2023/timetable/item-138/

 

登壇者様自己紹介

モデレーター:株式会社primeNumber薬丸さん
・パートナー様とのアライアンスを統括
・アライアンスの観点からお客様のデータ活用の支援

 

登壇者:株式会社ユナイテッドアローズ中井さん
・百貨店の勤務を経て、ユナイテッドアローズに2015年に入社 ・デジタルマーケティング部門でデータの分析などを5年ほど担当 ・現在はIT部門に異動し、AI、データマネジメントなどのデータの活用担当

 

登壇者 :株式会社ジール高橋
・2018年にジール入社、オラクル製品にて管理会計のシステムの開発、運用担当
・Snowflakeの導入、運用、支援担当 ・現在は、ユナイテッドアローズ様にSnowflakeの設計部分をリードしながら troccoⓇを含め運用を検討

 

セクション1 :パネルディスカッション

 

ユナイテッドアローズ様のデータ戦略について

セクション1ではユナイテッドアローズ様の事例について、同社の中井さんより背景と課題をお伝えいただき、ジールの高橋より課題の整理とどのような提案を行いながらtrocco導入を行ったか、そして導入後の変化や効果などがメインに語られました。

背景

中井さん:ユナイテッドアローズのデータ戦略の背景として、下記の3点が挙げられます。

・社員がアクセスできるデータ基盤に蓄積したデータを、簡単に加工して外で利用したい。
・データ基盤に蓄積したデータを容易に加工・外部連携したい。
・データを可視化して迅速な戦略を実行したい。

 

私がデジタルマーケティング担当していたときに、「利用したいデータがなかなか自分の意志で利用できない」、「システム側での利用許可に時間を要す」、「利用したいという要望も反映しづらい」などの背景があり、データ利用の民主化を実現したいと思っていました。 また自分でDWHを構築した際、施策の実現が早くデータ基盤を全社利用できるIT基盤を発信したほうが、いろいろな施策の実現が速くなるとわかりました。

弊社のIT部門は、非常に業務領域も責任の範囲も広くなかなか新しいことに取り組みづらい背景もありました。 ユーザーがやりたいことをできるように権限を「ユーザー」以上に持たせることができれば、責任範囲が従来よりも縮小することが可能となるので、そのためにもデータ基盤の刷新を検討していました。

 

<課題>

中井さん:ユナイテッドアローズのデータ戦略の課題としては、下記が挙げられます。

・当時のデータ基盤は分析に特化したDWHだったので、情報がオープンではなくITの統制が非常に強い環境だった。
・外部からアクセスはできず、外部にデータを持ちだすこともできないため、業務での利用がしづらい環境だった。
・過剰なスペックであり使いこなせず、またコストもかかっていた。

 

これらの課題に対しては、自由化・民主化・効率化の観点で取り組みました。 自由化については、様々なセキュリティの統制を取ったのち、下記を行いました。

・直接ユーザーのアクセスを可能にした
・分析のみならず、報告など様々な要望に対して利用を想定した
・外部にデータを連携するツール(troccoⓇ)を利用した

 

民主化については、固有のリソースを用意してDWH内であっても、ユーザー自身で開発ができる領域を用意したあとは、受益者負担原則として、すべての負担をIT部門が負うのではなく、開発を行う場合は各部門で負担をするようにしました。 効率化については、コストが高かったこともあり、クラウドDWHを利用したコスト削減、運用リソース では運用のシンプル化を含めて効率化を図りました。 ETLサービスの選定ポイントは、SQLをかけないユーザーに対してどうやってデータを使ってもらうかという点で ユーザビリティ、アクセシビリティを非常に重視しました。

 

ユナイテッドアローズ様のご要望


高橋さん:ユナイテッドアローズ様のご要望を受けて、サービス選定の基準として、①現在の課題と②データ活用を開始してから発生する将来の課題の二軸で考えました。

①の現在の課題は、管理コスト面や性能の面があります。
②の将来の課題は、幅広いデータ接続とデータ活用という点で、クラウド製品を検討することが一番最初に思いました。

 

実際、最新のDWHとクラウド製品はある程度対応可能です。その中でもユナイテッドアローズ様に最適なサービスは何かというと、既に所有されているシステムとの親和性が重要になります。例えばクラウドストレージをお持ちである、利用されているBI製品がある、そういったものに対して今回のデータ基盤を導入した際、最小限の影響範囲で収まるようにすることが選定基準として大きくなります。

それに対して、直近の①現在の課題としては、多くのユーザーにデータを活用いただく際、管理側でかかる運用コストが挙げられます。今回Snowflakeを実際に導入させていただきましたが、Snowflakeではウェアハウスと呼ばれるコンピュートリソースを分けることが可能であるため、ユーザー間で互いのリソースを気にすることなく利用することが可能です。

データレイクを源泉としてSnowflake内にデータを蓄積させる仕組みを作り、その上で不足しているデータをSnowflake内に取込したり、Snowflake内のデータを加工して外に出力することをユーザー自身ができる土壌を作り、Snowflakeとtrocco®を一体化した支援をしています。 その上でtroccoⓇを利用して、ユーザーがSnowflakeの中から外にユーザー自身でデータを加工できる 土壌を作り、足りないデータはこのように、SnowflakeとtroccoⓇを一体化させたご提案と支援をしています。

 

導入後の社内の変化

中井さん:導入して数ヶ月ということもあり、手探りで行っているユーザーも居ますが、troccoⓇ導入後、日を追うごとにデータ基盤に蓄積したデータへの社員の利用は増えていますし、利用したいという問い合わせも 社内で増えています。 ユーザーにとって、最も抵抗を感じる部分はSQL以外にもあり、ワークフローやジョブ設定のスケジュール部分へのハードルが高くなっていました。 今まではコマンドを使用する作業は我々の部署が行っていましたが、 troccoⓇ導入後は、ユーザー自身が全て設定できるようになりましたので、その点も社内に好意的に受け入れられた要因だと思います。

基盤構築のステップイメージ

中井さん:2022年の開発フェーズは、4名体制で4月から12月の約8ヶ月間プロジェクトを進めました。 このフェーズでは、「不可能を可能にする」ということを目標に、データを集めたり、DWHを外部からアクセス可能な形で構築することを行いました。 現在のフェーズは、社内のユーザーに活用してもらうべく「難しいを簡単に」ということを目標に、 troccoⓇの導入や、データカタログの整備、データマートの開発を行っています。また、運用面ではユーザーコミュニティの運営も行っています。 今後は、自分自身でデータを活用する文化が社内で根付くように、引き続き取り組みを行っていこうと考えています。

 

効果と期待

中井さん:ユーザーが「このデータ基盤を使いたい」という気持ちが芽生えることが、今回の取り組みのゴールだと考えています。 ジールはこれまで期待を超えるご支援をしてくださったと思っています。この活動に対しては、ぜひ今後も引き続きご支援をお願いしたいと思っています。今後は特に運用面の負荷が大きくなるため、様々なスケールの運用の改善・提案をご支援いただいている点に感謝しています。そういった姿勢を、これからも継続していただきたいです。 troccoⓇは、導入後もユーザーの期待は大きかったと実感しています。実際に利用者も増えています。今後期待することは、新しいツールを導入したため、何か問題が発生した時にドキュメントを頼りにユーザーが理解できる体制をprimeNumberさんとジールさんで協力して構築していただけたらありがたいと思っています。

高橋さん:温かいお言葉にほっとしました。今後もユナイテッドアローズ様とディスカッションしながら、よりよい方法をご提案しながら、伴走する形でデータ活用を広げていきたいと思っています。

薬丸さん :我々からのベストプラクティスの提案も非常に重要だと思いました。我々のサービスは、データエンジニアの右腕となりうる存在だと思いますので、データ統合の時間を削減し、実際取り組みたいデータの活用や、分析にお時間をかけていただきたいと思います。また、改善点のフィードバック、叱咤激励などございましたら、ぜひ宜しくお願いします。

 

セクション2 : Q&A

セクション2ではユナイテッドアローズ様の事例について、同社の中井さんより一問一答形式でお答えいただき、さらに同じ課題をお持ちの方へ向けられたメッセージをお話しいただきました。

 

小売業でよくある課題について 一問一答

薬丸さん :SIerやツール選定のポイントはどこでしたか?

中井さん:SIer様の選定に関しては、保守運用を堅実に行っていただけること、そして開発において柔軟に対応して下さること、長く使い続けられる基盤を開発していただけることを重視しました。

高橋さん:ありがとうございます。ゴールは基盤を入れることではなく、その先にある民主化であるという点を意識し提案させていただきました。

 

薬丸さん :データ基盤の構築・活用において意識していることはなんですか?

中井さん:IT側がユーザー側にデータを使うことを強制するのはDXでもなく民主化でもないので、活用するのはIT部門ではなくユーザー自身であることを意識しています。

 

薬丸さん :ユーザー自身でデータ活用していく上で、「責任を持った行動」がキーワードとなりますが、工夫した点や苦労した点はなんですか?

中井さん:より大きいことが実現できるという期待をユーザーに抱いてもらい、その上で責任が発生することを理解してもらう。期待と責任というバランスを取っていく部分は、当初から非常に苦労しているポイントです。

 

データ分析やデータ活用に課題を感じている方へメッセージ

高橋さん:長く使えるデータ基盤にして行くためにも、システム構築側と業務を行うユーザー側で軋轢が生まれないような、基盤の構築が重要だと思います。現場の声を届けることができる人が必要で、そういった方々と一緒に企業に合わせたデータ基盤を作ることが重要です。 データ基盤を浸透させていく、劣化させていかないというところで、データを常に溜め込み続ける新しいツールを導入できる体制を作り続ける。そして、ユーザーへは教育を行ってスモールスタートで進め、成功体験を積んでいただき、さらなるデータ活用へ波及させていくことが大事だと思っています。

 

最後に

最後に、中井さん、薬丸さん、高橋より、今後に向けての方針や方向性について、以下のようにまとめの言葉がありました。

中井さん:まだ現状では成功しているとは全く思っていません。これからもたくさん失敗をして、その中から成功例を積み上げていくことが必要だと思っています。そのため、失敗を許容し、小さな成功を積み上げていく点を会社と約束できるかが、事業会社の担当者としては非常に神経を注ぐべきポイントだと感じています。

薬丸さん :データの活用を増やす点では、ユーザー様のハードルを下げると言うところも非常に重要なポイントだと思っております。弊社としては、そこに対するサービスの開発など、UIの向上に引き続き取り組みたいと思っています。

高橋さん:お客様と伴走をさせていただいて、データ活用ができる環境作りに取り組んでいます。SnowflakeとtroccoⓇの組み合わせは、ユーザーのニーズに応えられる組み合わせだと強く感じておりますので、是非Snowflakeをご検討の方は弊社へお声掛けいただければ幸いです。

 

講演を聞いて

Snowflakeとtrocco®︎を用いたデータ基盤の構築により、ユナイテッドアローズ様の作業効率が向上し、煩わしい作業が改善されてお喜びのお声を伺えて、私自身とても嬉しく思いました。 と言いますのも、BI online 運営側にいると、こういったお客様のお声をなかなか聞く機会がないからです。Snowflakeとtrocco®︎の相性も抜群とのことで、今後も改善点の取り組みをジールとともに引き続きお取り組みいただければと思います。

事例ページ
株式会社ユナイテッドアローズ
https://www.zdh.co.jp/customer/unitedarrows/

Snowflake/trocco®︎ の製品ページ
●Snowflake Snowflakeは圧倒的な高速性と扱い易さを兼ね備えたクラウドDWHサービスです。特に、クラウドベースのデータウェアハウスの弱点とされている多数の同時実行処理に強みを持ちます。さらにBI/アナリティクス製品との親和性が高いことや、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といったマルチクラウド環境で利用可能なため、クラウドストレージからデータを簡単にロードすることが可能です。

詳細はこちら
https://www.zdh.co.jp/products-services/dwh/snowflake/

●trocco®︎ troccoⓇは、ユーザーの持つ膨大かつさまざまな種類のデータを自動で統合し、データ活用を効率化するクラウド型サービスです。国内最大級の導入実績を有する日本発のサービスです。主要な機能は「データ統合の自動化」であり、対応コネクタ数は100種類を超えます。また、Snowflake をはじめ、Google BigQuery、Amazon Redshiftといった主要なDWHサービスに対応したELT機能も提供しています。さらに、使いやすい洗練したユーザーインタフェースにより、ETL/ELT処理の開発・運用負荷を削減します。

詳細はこちら
https://www.zdh.co.jp/products-services/etl/trocco/

ジールへのお問い合わせ

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