公開日:2024年8月9日

更新日:2024年9月5日

デジタル化が進む現代社会では、あらゆる情報がデータとして収集されています。 巨大かつ多様なデータを意味する「ビッグデータ」の活用は、今や人間の生活やビジネスにおいて、欠かせないものといえるでしょう。

この記事では、ビッグデータの特徴や活用例を解説するとともに、企業がビッグデータを活用する際のメリットや注意点なども紹介します。

ビッグデータとは人間には扱えない巨大・大量のデータ

ビッグデータ(Big Date)とは、人間では扱いが難しいほどの巨大なデータ群を指します。単純にデータ量の多さだけでなく、多様な種類や発生速度の高さなどが含まれる点も特徴です。

ビッグデータはその膨大さゆえに、従来のデータベース管理システムでは記録や保管ができませんでした。

しかし、コンピュータの処理能力の向上や人工知能(AI)などテクノロジーの発展にともない、ビッグデータの記録や解析も可能になりました。

データ主導で経済成長やイノベーションが進む今、企業やビジネスにおいてもビッグデータの利活用が急務といえるでしょう。

総務省が定めるビッグデータの種類・特徴

ビッグデータとは、具体的にどういったデータを指すのでしょうか。総務省ではビッグデータの定義と範囲を、おもに「オープンデータ」「産業データ」「パーソナルデータ」の3つに分類しています。それぞれを以下で詳しく説明します。

1.オープンデータ

オープンデータとは、国や地方公共団体が保有する官民データのなかでも、全国民が無償で利用できるように公開された公共情報のことです。

オープンデータはビッグデータのなかでも先行している分野であり、オープン化を積極的に推進することが求められています。

一部の例外を除き、加工や編集、再配布などの二次利用も可能なため、社内で蓄積したデータを持たない企業は、オープンデータの活用も検討するとよいでしょう。

以下の記事では、オープンデータの概要や活用事例を解説しています。

ジールの提供するサービス「CO-ODE(コ・オード)」では、国や地方公共団体が公開するオープンデータを、分析しやすい形で配信・提供しています。

CO-ODE | オープンデータ活用サービス

2.産業データ

産業データは2種類あります。

1つめは「知のデジタル化」で、産業や企業が保有するパーソナルデータ以外のデータを指します。具体的には、人間の知ともいえるノウハウの蓄積などが該当します

2つめは「M2M(Machine to Machine)」で、産業用機器などモノ同士の間で通信が行なわれる際に、収集されるデータを指します。

産業データは今後、さまざまな分野や産業において蓄積されると想定されており、その競争力によって産業への強化が期待されています。

3.パーソナルデータ

パーソナルデータとは、個人の属性のほか移動や行動、購買履歴などの個人情報です。そのなかには、特定の個人を識別できないよう加工された情報(匿名加工情報)も含まれます。

ちなみに、個人情報保護法における「個人情報」とは、パーソナルデータのうち個人の特定につながる情報のことです。パーソナルデータは個人情報に加え、個人の特定や識別につながりにくい曖昧なものも含まれます。

また、パーソナルデータは個人から企業へと送られ、その後、収集されたデータに付加価値をつけた商品やサービス等を、個人が受け取る関係にあります。

ビッグデータを構成する5つの要素

ビッグデータを構成する要素としては、5つの「V」が挙げられます。

具体的には、Volume(量)、Velocity(速度)、Variety(多様な種別)、Value(価値)、Veracity(正確性)です。

要素 概要
Volume(データ量) 膨大な量のデータであること
Velocity(データの速度・頻度) 絶え間ないデータ生成や、高頻度でデータベース更新がされること
Variety(データの多様性) データの種類が多種多様であり、より細かな分析が可能になること
Value(データの価値) データの活用により、企業に利益や価値をもたらすこと
Veracity(データの正確性) 確実性の低いデータを管理し、精度の高いデータに近づけること

ビッグデータが活用されている身近な活用事例

ビッグデータは、すでにさまざまな分野での活用が始まっています。ここでは、ビッグデータが活用されている身近な例を紹介しましょう。

例1.気象・天気予報

気象観測や天気予報は、陸・海・空の気象データを集めて行なわれます。

例えば気象庁の地域気象観測システム(アメダス)は、全国に約1,300ヵ所ある観測所で、降水量のほか風向きや風速、気温、湿度などを観測し、天気予報や気象災害の防止、軽減に役立てられています。

気象データの分析を行なうスーパーコンピュータは、数年ごとに更新にともない扱うデータ量も増加。ビッグデータの活用により天気予報の精度も以前に比べて向上しています。

また、気象に関するビッグデータはビジネスにも活かすことが可能です。例えば商品やサービスによっては、天気や気象が売上変動の要因となります。

気象に関して使えるオープンデータが増えるほど、無駄のない商品管理などが行なえるでしょう。

気象に関するオープンデータの利用については、以下も併せてお読みください。

例2.Web広告

ビッグデータの活用により、マーケティングを効率的に運用できるようになります。

例えばECサイトでは、サイトを訪問した人物の属性や閲覧・購入履歴など、膨大なビッグデータの収集が可能です。

これらのデータを活かし、顧客一人ひとりの嗜好に合わせた、より精度の高い広告配信が実現します。

ほかにも、SNS上の行動や検索に使用したワードなどから、自社商品やサービスの購買層にターゲットを絞って広告を表示させることなども可能です。

例3.交通情報

交通情報で活用されるビッグデータとしては、以下が挙げられます。

・携帯電話基地局データやGPSデータ、Wi-Fiアクセスポイントデータ(特定の移動手段に限らず人の流れを把握する)
・交通系ICカードデータ(バスや鉄道の利用者を対象に、発駅と着駅の組み合わせから利用者数を把握する)
・カメラの画像検出(歩行者を対象としたデータを把握する)

上記のビッグデータから人の流れや道路・公共交通機関の利用状況をリアルタイムに解析することで、混雑の緩和ができます。
また、交通インフラの整備や効率的な観光交通の検討などへの応用も可能です。

例4.コンビニ

コンビニも、ビッグデータを活用している業種の一つです。

具体的には、顧客の行動から得られる需要のある商品と、その売上などのデータをもとに購入層やリピート率などを可視化し、広告や販売促進、需要予測や商品開発などに役立てています。

例えば、何気なく見ていたSNS上に、おすすめのコンビニ商品が提示された経験がある方もいるでしょう。これはビッグデータで得た情報をもとに、AIによる購買行動分析が行なわれた結果です。

また、店舗ごとにデータを分析することで、時間や曜日、天候によって入荷する商品や量を変えるなど、機会ロスや廃棄ロスを抑制する取り組みにも活用されています。

例5.医療データ

健康診断の結果や、薬局の調剤データなど多くのデータを取り合う医療分野もビックデータとの相性も良い業界です。
特に、医療分野においてはビックデータの活用が進むことで、特定の病気に対する新薬の開発や、疾病に関する研究などに活かすことができます。

これにより、病気のメカニズムの解明や既存の薬に対する安全性の向上などが期待できます。

企業がビッグデータを活用する3つのメリット

続いて、企業がビッグデータを活用する場合のメリットについて解説します。

1.商品やサービスの開発・改良の効率化

ビッグデータの分析によって、既存の商品やサービスに対する関心や評価など、市場分析が可能です。消費者の不満や要望を商品やサービスの改良につなげられるため、顧客満足度の向上が期待できます。

また、SNSやWeb上のデータを収集したり、競合他社のデータを分析したりすることで、今人気の商品など市場動向を迅速にキャッチできます。顧客の要望にフィットした新商品のアイデアや新事業のヒントも得やすくなる点はメリットと言えるでしょう。

2.高精度のマーケティングの実現

ビッグデータは種類が多様であることも特徴の一つであり、消費者の持つ情報を細かく把握できます。自社の商品やサービスに適したターゲットに対し、より精度の高いPRができるようになり、マーケティングの効率化を図ることが可能です。

また、ビッグデータは消費者の情報をリアルタイムで可視化できるため、潜在的ニーズの素早い掘り起こしにも役立ちます。市場開拓や新たな価値の創出なども、従来に比べてスピーディに実現できる点がメリットです。

3.属人的な体制の改善

従来の生産管理や在庫管理、マーケティング等は、おもに従業員の経験やノウハウに基づいていました。そのため個人のスキルや能力に左右されやすく、担当者が不在の場合には、業務の停滞や利益の損失に陥るリスクもありました。

しかしビッグデータを用いれば、数値に基づく意思決定ができるようになり、属人的な体制からの脱却が可能です。

また、個人の主観ではなく定量的な判断をもとに予測分析を行なえるため、マーケティング等の施策もより戦略的に実施できるでしょう。

4.DX化にともなう競合との差別化

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データとデジタル技術を活用して、ビジネスや生活等の変革を成し遂げることを指します。

近年は政府もDX化を推進しており、企業の成長のためにはDX戦略が欠かせません。

具体例の一つとして、企業内データのDX化の際に、オープンデータなどビッグデータと合わせてデータ分析を行なう方法があります。

これにより、自社の事業の拡大や新商品の開発、消費者ニーズの把握などが可能となり、競合他社に差をつけることが期待できます。

ビッグデータの活用・分析するときの問題点や課題

最後に、ビッグデータの活用や導入の際に課題となる点を解説します。

万全のセキュリティ体制が必須

ビッグデータには、個人の特定につながりかねないデータも含まれます。そのためビッグデータの活用に際しては、個人情報保護法など法規制や政府によるデータガバナンスに則り、管理体制を確立しておくことが重要です。

また、サイバー攻撃による情報漏洩にも注意が必須でしょう。近年は、大企業だけでなく中小企業もサイバー攻撃の脅威に晒されています。事業規模や業種を問わず、万全のサイバーセキュリティ対策が求められているのです。

データマネジメントの概要については、以下の記事でも詳しく解説しています。

専門的なスキルを持つ人材が必要

先にも述べたように、ビッグデータは多様性に富んだ膨大な量のデータであり、なかには信用に値しない、価値の低い情報が含まれる場合もあります。事業や業務に活用する際には、必要かつ精度の高いデータの選別・抽出が必須となるでしょう。

そのためビッグデータの適切な運用には、専門的かつ高度なスキルを持つ人材の確保が急務です。データの扱いに長けていることはもちろん、ビジネススキルやマーケティング知識などを備えた人物が望ましいでしょう。

外部からの人材登用はハードルも高くなりがちなため、自社による人材育成も視野に入れることが必要です。

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ジールでは、ビッグデータの活用に必要なコンサルティングからデータプラットフォームの構築・運用、保守までを行なっています。ビッグデータ活用の推進はもちろん、これまでのノウハウや知見をもとに、社内における人材育成のサポートも可能です。

ジールでは無料相談も実施しています。将来を見据えた形でのビッグデータ活用基盤を検討しているご担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

まとめ

ビッグデータとは、人間が扱うことが難しいほどの、多種多様で巨大なデータ群のことをいいます。

ビッグデータはすでにさまざまな産業や分野で活用されており、今や企業の発展において欠かせない要素となっています。一方で、ビッグデータの扱いには高度なスキルや知見が求められるため、社内の管理体制の構築や人材育成が課題です。

ジールでは、ビッグデータの活用やDX化などに関して、企業が求めるさまざまなサポートに対応可能です。

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