データ分析とは、収集したデータの整理や加工、取捨選択などを行ったうえで分析することを指します。本記事では、データ分析の基礎知識から実践のプロセス、エクセルの技術やPythonを使用した分析手法などを解説します。データ分析ツール、データ分析に役立つ資格、企業の実際の活用事例についても網羅しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
データ分析とは?
データ分析は、ビジネスや科学など多様な分野で活用されています。ビジネスにおいては、特に顧客データの分析や将来の市場予測、戦略立案などで重要な役割を果たしており、データを正確に分析することで、より精度の高い意思決定が可能になります。データ分析の重要性は日々高まっており、現代社会において必須のスキルとなっています。
データ分析に求められるスキル
データ分析では、データを集計し加工するためのスキルが不可欠です。また、統計学や機械学習のような分析手法への理解も求められます。さらに、ビジネスや科学といった特定の分野に関する深い知識も重要です。データ分析は、さまざまな専門的スキルと知識が求められる難易度の高い手法といえます。
データ分析を行うメリット
データ分析にはさまざまなメリットがあります。ここでは、ビジネスでデータ分析を取り入れるメリットについて詳しく解説します。
データドリブンな経営ができる
データ分析を行うと、経営上の重要な意思決定をデータに基づいて行えます。データ分析を活用しない経営では、経営陣の直感や経験のみに依存した判断をしがちです。しかし、データ分析行うことで、実証されたデータに基づいた根拠のある決定が可能となります。また、市場の変化や顧客のニーズの見落としを防げるメリットもあります。データ分析を取り入れることで、経営の効率化と精度の向上が期待できるといえます。
迅速な意思決定ができる
データ分析を活用すると、客観的なデータに基づいた判断が可能になり、意思決定を迅速に行えます。ビジネスの世界では、スピードが成功の鍵を握ることが多く、迅速な意思決定をすることで競合よりも優位に立てます。チャンスを逃さず市場の変化にすぐ対応できるのは、ビジネスにおいて大きなメリットになるでしょう。
新たなビジネスチャンスを見つけられる
データ分析を活用すると、従来の感覚だけでは見つけられなかった新しい視点に気づけます。そして、時には新たな視点が意外なビジネスチャンスにつながるかもしれません。ほかにも、データを用いると顧客の本質的なニーズを理解でき、サービスの質向上に役立つというメリットもあります。データ分析によって企業は市場での競争力を高められ、新しい成長機会をつかめるといえます。
現状分析や将来予測が正確に行える
データ分析を用いると、複数のデータの関連性や因果関係を明らかにでき、不確実性を減らせます。データ活用を用いたからといって完璧な予測は難しいものの、感覚よりは精度の高い予測が行えるのは確かです。 企業が現状をより深く理解し、未来をより確実に予測できることは、結果的にビジネスの成長と発展につながります。
データ分析に用いられる主な手法一覧
手法 | 分析方法 | 手法の特徴 |
バスケット分析 | 顧客が過去に購入した商品の組み合わせを分析し、購買パターンを明らかにする | 関連商品の推薦や、在庫管理の最適化に役立ち、特に小売業で有効 |
アソシエーション分析 | アイテム間の関連ルールを発見することで、あるアイテムの購入が他のアイテムの購入をどれだけ促すかを分析する | マーケティング戦略や商品配置の最適化に利用され、販売促進に貢献する |
クロス集計 | 異なる変数間の関係を表形式で表示し、その関連性を調べる | アンケート調査で頻用され、複数のカテゴリー間の比較に強みを持つ |
因子分析 | 観測データの背後にある潜在的な変数(因子)を特定し、データをシンプルにする | アンケートの多数の質問から、消費者の本当のニーズを見つけ出すのに役立つ |
クラスター分析 | 類似性に基づいてデータを細かなグループに分ける | ターゲットを絞ったマーケティングを可能にする |
決定木分析 | データを分類するためのルールを木構造で表し、結果を予測する | 直感的な可視化ができ、複雑なデータの分類や回帰に有効 |
ABC分析 | 品目を売上高や利益貢献度によってランク付けし、管理の優先順位を決定する | 在庫や顧客対応の優先順位を決めるのに役立ち、資源の効率的な配分を促す |
ロジスティック回帰分析 | カテゴリー予測のための確率を推定する | 医学や社会科学の研究でよく使用され、未知の結果を持つデータセットに適している |
主成分分析 | データの変動を最もよく表す成分を抽出することで、データを簡素化する | 大量の市場データを簡潔にして、どこに注力すべきかを判断するのに役立つ |
グレイモデル | 不完全な情報をもとに未来のトレンドを予測する | 情報が限られている場合にも適用可能で、初期の傾向分析に利用される |
回帰分析 | 変数間の関係をモデル化し、一方の変数が他方にどのように影響を与えるかを分析する | 売上予測や顧客満足度の影響を分析するのに適しており、戦略的な意思決定に役立つ |
度数分析 | データの出現回数や頻度を計測し、その分布を整理する | 商品の売れ筋分析や顧客の行動パターン分析などに使われる |
データ分析に用いられる手法は多岐にわたり、それぞれに特徴があります。ビジネスの成長や効率化を実現するためには、これらの手法を場面に応じて活用することが必要不可欠です。データ分析の目的や状況に応じて最適な手法を選ぶと、データの価値を最大限に引き出せます。
データ分析のプロセス
データ分析のプロセスは、まずデータを集め、それを整理・分析して意味のある情報に変えるといった手順で行います。データ分析を効果的に行うためには、正しい手順にのっとって進めることが大切です。
目的と目標を設定する
データ分析のアプローチは数え切れないほど存在します。そのため、実際にデータ分析に取りかかる前に、分析の目的や目標を設定することが重要です。初期段階で目的と目標をしっかりと定めると、無駄な分析作業を避けられ、効率的にデータを分析できます。 目標に基づいて分析を進めることは、より具体的かつ実用的な結果を導くために欠かせません。
データの収集・蓄積をする
データ分析の目的と目標が決まったら、それに応じたデータを収集します。データの収集にあたっては、あらかじめ自社で取得可能なデータを洗い出しておくとスムーズです。データを収集できたら、必要に応じて異常値の修正や不要な情報の削除といった作業を行い、データ分析に適した形に整えます。データは管理しやすい形で収集・蓄積しておくと、分析の目標を達成しやすくなります。
データ分析を実行する
データの収集と蓄積ができたら、データ分析を実行します。データ分析の実行段階では、「データ分析に用いられる主な手法一覧」で紹介したような方法を使います。分析手法の選択は、データ収集の初期段階で行うのがおすすめです。あらかじめ分析手法を決定しておくことで、収集するデータをその手法に適した形で整理・準備することができ、分析の効率と精度が向上します。
分析結果から改善策を考える
データ分析の過程では、得られた結果を解析し、現状の課題点や将来への予測を明らかにすることが重要です。この洞察は、経営上の判断や実務の改善策を導くための貴重な手がかりとなります。分析によって得た知見を実際のアクションに変換し、企業の成長や効率化を促進するための改善策を積極的に展開していくことが、データ分析の究極の目的です。
データ分析のポイント
データ分析を成功させるにはポイントがあります。ここでは、2つのポイントについて解説します。
BIツールを利用する
BIツールとは、「ビジネスインテリジェンスツール」のことです。BIツールは、データを分かりやすく表示して、専門的な知識がなくても簡単に分析ができるように設計されており、データ分析の効率化に役立ちます。BIツールを使用すると、データ分析を行う人の範囲が広がり、より多くの社員がデータを基にした意思決定に参加できるようになります。結果として、企業全体のデータ活用能力が向上し、ビジネスの成長が促進できます。データ分析を社内で広めていきたいなら、BIツールを活用するのが便利でしょう。
データ分析に長けた人材を確保する
データ分析を成功させるには、適切な人材の確保が重要です。前の項で紹介したように、データ分析には多様なスキルが必要です。プログラミング、統計学、ビジネス理解などの多岐にわたる専門知識が求められるため、企業が本格的にデータ分析に取り組むには、これらのスキルを持つ人材を社内外から集めることが必要です。特に、分析フレームワークや分析理論に精通した人材がチームにいると、分析の成功率は大幅に向上します。
ジールのデータ分析活用事例
株式会社ジールは、30年以上にわたる実績を持ち、これまで1000社以上の企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援してきました。弊社は、特にDX推進において進め方がわからない企業や一貫したサポートを必要とする企業から選ばれているのが特徴です。長年培った経験と専門知識を活かし、それぞれの企業の課題に合わせたデータ活用の提案を行っています。
事例1:前田道路株式会社様への導入事例
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サイロ化されたシステムがデータドリブン経営推進の障壁になっていた
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臨機応変なサポートとマルチベンダー対応を評価し伴走パートナにジールを選択
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2022年4月、前田道路によるデータ統合/分析基盤の導入プロジェクトがスタート
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2024年度の本番運用に向けて設計、開発が進められている
事例2:ヤマトコンタクトサービス株式会社様への導入事例
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応対品質の向上に向けたVOCのデータ活用で「肯定的」「否定的」などの感情分析が必要に
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Text Analyticsの利用について、マイクロソフトに相談
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開発ベンダーとして紹介されたのが、AI 、BI、DWH、Microsoft Azureなどデータ活用に豊富な実績と知見を有するジールだった
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アジャイル型のプロジェクトにすることで短期間で効率的な進行と、徹底的な品質追求を行う
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やりとりの多くはWeb会議で行われたが、非常にスムーズに進んだ
ヤマトコンタクトサービス株式会社様への導入事例の詳細はこちら
事例3:ジェイリース株式会社様への導入事例
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情報利活用にかかる工数の削減とスピードを向上させることを目的とし、BIツール導入の検討を開始
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操作性に優れ、分析に不慣れなスタッフでもすぐに使い始めることができる点もポイントとなり、Cognos BI の採用を決定
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日本アイ・ビー・エム株式会社よりジールが紹介され、初心者でも抵抗なくBIツールを使いこなすための導入支援を実施
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基幹システムとリアルタイム連携を実現自在な情報分析が可能に
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本番運用後もトラブルなく、初心者でも簡単にCognos BIを使いこなすことが出来ている
事例4:ヤマハ株式会社様への導入事例
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DX人材育成のファーストステップにPower BIを導入
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定着に向けた集合研修を開催するもコロナ禍で中断
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コロナ禍においてもBIツールの教育機会を提供するため、DX戦略グループの担当者が着目したのがeラーニング
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3カ月単位の受講サイクルで効率的な人材育成を実現
データ分析に役立つ関連情報
データ分析には、さまざまなツールと手法が存在します。ここでは、エクセルやPythonなどの定番ツールを使用したデータ分析の基本的な方法について解説します。
エクセルを使ったデータ分析の方法
エクセルを活用したデータ分析は、以下のとおりです。
データのインポート | データをエクセルにインポートする |
データの整形 | データの形式を整え、不要なデータを削除する |
データの集計 | ピボットテーブルを使用して集計する |
データの可視化 | グラフやチャートで結果をみやすい状態にする |
データの分析 | 統計処理やグラフの解析を行う |
エクセルの分析ツールを活用すれば、19種類の異なる分析手法を使えます。例えば、データ全体の傾向を把握するために基本統計量を用いたり、購買額の分布をヒストグラムで分析したりすることが可能です。
データ分析におけるPythonの基本的な使い方
Pythonは、データ分析分野で広く利用されるプログラミング言語の1つです。Pythonには、データ分析に特化した多様なライブラリが用意されており、それらを利用して分析作業を行います。例えば、機械学習モデルの実装には「Scikit-learn」が用いられ、データの可視化には「Matplotlib」や「Seaborn」が活用されます。Pythonのライブラリを使うことで、複雑なデータも効果的に分析でき、有用な洞察を得られます。
データ分析に役立つ資格
データ分析の分野で活躍するためには、資格も役立ちます。データ分析に役立つ主な資格は下記の通りです。
資格名 | 資格の特徴 |
基本情報処理技術者試験 (FE) | 経済産業省が認定する国家資格で、システムエンジニアやプログラマーとしての基礎スキルを証明できる。情報処理の全般的な知識が問われるメジャーな資格。 |
応用情報技術者試験 (AP) | 情報処理技術者試験のひとつで、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験。高度IT人材に必要な応用的知識とスキルを問われる。 |
統計検定 | 統計的な知識とデータ活用能力を評価する全国統一試験。科学的な問題解決能力を証明でき、国際社会でも認知されている資格。 |
統計士・データ解析士 | 一般財団法人実務教育研究所が運営する講座とそれによって証明される資格。統計の基本を証明する「統計士」と多変量解析の実力を証明する「データ解析士」の資格がある。 |
データベーススペシャリスト試験 | 情報処理技術者試験のスキルレベル4に該当する難関資格。データベースに関する高度な知識が問われる。 |
データ分析は正しい手順で、ポイントを押さえて効果的に!
この記事では、データ分析の基礎知識やデータ分析のプロセス、実際の導入事例を紹介しました。データ分析は、組織の意思決定を強化し、競争力を高めるために不可欠です。
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