公開日:2024年6月27日

更新日:2024年9月13日

近年、米新興企業の人工知能の研究と開発を行っているOpenAI(オープンAI)社が開発した対話型AI「ChatGPT(チャットジーピーティー)」を筆頭に、生成AIと呼ばれる創造型のAIが台頭してきました。ビジネスの分野でも生成AIの存在感は増しているため、事業への導入を検討している方も多いのではないでしょうか。

この記事では、生成AIの基本的な仕組みや機能、利用上の注意点、生成AIをビジネスで活用する具体的なアイデアも紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

生成AIとは?基礎知識や従来のAIとの違いを簡単に解説


生成AIの発展は目覚ましく、ビジネス現場でも斬新な活用方法が次々に生み出されています。今後のビジネス戦略や導入計画を立てるためにも、まずは「生成AIとは何か」について知っておく必要があるでしょう。

ここでは、生成AIの基礎知識や注目されている背景、従来のAIとの違いを解説します。

生成AIとはコンテンツを作成できるAIのこと

生成AI(ジェネレーティブAI)とは、テキストや画像、音声、動画などのさまざまなコンテンツを作成できる人工知能です。

あらかじめモデルに大量のデータを読み込ませ、パターンや構造を学習させることで、新しいコンテンツを生成しています。

プロンプトと呼ばれる作成したいコンテンツの内容や特徴を示した指示文章を入力すれば、それにしたがって自動的に多様なコンテンツを作り出せます。

代表的な生成AIアプリ・サービスには、文章生成が得意な「ChatGPT」や画像生成ができる「Midjourney」などがあります。

2024年6月時点では、Google開発の「Gemini」がリリース。Google AIとのチャットで、文章やリストの作成、計画立案、新しい知識の習得などが可能です。高性能なAIモデルとして話題を集めています。

生成AIが注目されている理由

生成AIが注目を集めている理由には、生産性向上の必要性と誰でも扱いやすい操作性が大きく関係しています。

昨今、デジタル・トランスフォーメーション(DX/デジタル化によって社会・生活の形・スタイルが変わること)が強く求められており、その目的の一つが生産性の向上です。

生成AIはいわば「秘書」のような役割を担い、業務の効率化をサポートすることが期待されています。

もう一つの理由として、誰でも簡単にコンテンツを作成できるようになったことが挙げられるでしょう。

例えば、ChatGPTは質問を入力するだけで即座に応答してくれるため、ビジネスシーンだけでなく、趣味や日常生活でも親しまれています。

従来のAIとの違いは「創造性」

生成AIは記事を制作する場合などにコンテンツを生み出せる点で、従来のAIとは異なります。

従来のAIは識別系AIとも呼ばれ、学習したデータに基づく情報の特定や予測がおもな目的です。

例えば、あらかじめ読み込んだ画像データのなかから、人物を判別・分類できます。ただし、あくまで作業の自動化に止まり、新たに創造できるわけではありません。

一方、生成AIは学習したデータをもとに、ユーザーの指示に合ったコンテンツを新たに作り出します。

【無料あり】生成AIで作成できる4種類のコンテンツ

生成AIは、様々な種類があり、シンプルな指示から多様なコンテンツを自動で生み出すことが可能です。特に注目されるコンテンツとしては、文章や画像、音声、動画が挙げられます。

ここでは、コンテンツごとの具体的な機能や使い方、代表的なツールの種類、ビジネスシーンでの利用方法について解説します。

文章作成(ChatGPT・Gemini・Claudeなど)

生成AIの活用方法として、特に注目されているのが「文章作成」機能です。文章作成が得意な生成AIツールとしては「ChatGPT」と「Gemini」、「Claude」が代表的でしょう。

先述したとおり、生成AIに命令や質問(プロンプト)を文章形式で入力するだけで、自動であらゆる文章を生成できます。

作成できる文章はブログ記事やエッセイなどのカジュアルなものから、商品PRやビジネス文書まで多岐にわたります。会話や文章だけでなく、文字起こしや翻訳、プログラミングのコード作成にも利用可能です。

文章を書くスピードとクオリティが大幅に向上し、ライターやコンテンツクリエイターにとって強力なツールとなるでしょう。

<Chat GPTに「生成AIとは」と聞いた結果>

<Geminiに「生成AIとは」と聞いた結果>

イメージ画像作成(DALL-E・Leonardo AI・Midjourney・Stable Diffusionなど)

生成AIは「画像作成」の分野でも大きく進歩しています。特に「DALL-E」、「Leonardo AI」、「Midjourney」、「Stable Diffusion」などのツールが有名です。

ユーザーが希望する画像のイメージをテキスト入力するだけで、希望に近いオリジナル画像を自動的に作成できます。

簡単な操作でイメージを具現化してくれるため、デザインの知識がない人にとっても使いやすいツールだといえるでしょう。

生成できる画像のジャンルは多種多様です。

例えば、マーケティング資料用にはリアルな画像、ゲームコンテンツ提案用にはアニメ風画像など、目的に応じた使い分けができます。

<Leonardo AIに「生産AIとは」について画像で表してもらった結果>

 

音声作成(VOICEVOX・CoeFont STUDIOなど)

「音声作成」の分野でも生成AIの活用が進んできました。

特に「VOICEVOX」や「CoeFont STUDIO」などのツールが代表的です。

生成AIに特定の人物の音声データを大量に学習させ、声質や語り口を模倣した自然な音声で文章を読み上げることができます。

まるで同じ人が話しているような音声を作成できることから、すでにナレーションの分野での活用が始まっています。

将来的にはカスタマーサポートや通訳業務などでの応用が期待されており、顧客対応にかかる時間を大幅に軽減できるかもしれません。

動画作成(Canva・Sora)

生成AIが作成できるコンテンツのなかでも、特に伸びしろがあるのが「動画作成」です。「Canva」や「Sora」などのツールを聞いたことがある方も多いと思います。

基本的な操作方法は画像生成と同じで、ユーザーが入力したイメージやテーマに基づき自動的に動画を作成できます。

現状では数秒間の短い動画を作成できるに止まるものの、今後の発展が期待される分野です。

より複雑なストーリー展開や長い動画の作成が可能になれば、企業のPR動画やSNS用コンテンツなどが容易に作れるようになるかもしれません。

生成AIをビジネスで使うメリット


生成AIをビジネスで利用すれば、業務の効率化やコスト削減、クリエイティブなアイデアの創出など、さまざまなメリットをもたらします。

これまではなかった新たなビジネスチャンスの発見につながる可能性もあるでしょう。

ここでは、生成AIの具体的なサービス内容を紹介しつつ、ビジネスで活用するメリットを解説します。

業務を効率化やコスト削減ができる

生成AIを導入すると、業務の効率化やコスト削減が期待できます。

これまで人間が行なっていた業務を生成AIが自動化することで、作業時間を大幅に短縮し、人的コストを抑えるのです。

例えば、議事録や報告資料の作成などのルーティンワークで生成AIが役立ちます。人間は生成AIにプロンプトを与えるだけで、これまで1時間かけていた作業があっという間に終わるため、作業効率が大幅に向上します。

株式会社ジールでは「Azure OpenAI Service 検証プログラム」を提供しています。社内のデータをセキュアに利用できる環境を構築・評価し、企業のDXを手助けします。

革新的でクリエイティブなアイデア・コンテンツを生み出せる

アイデア出しは生成AIの得意分野です。シンプルなワードや文章から、多様なアイデアを提案できるため、新たな視点やパターンの発見につながる可能性があります。

例えば、ターゲットとなる顧客層を指定すれば、キャッチコピーや商品コンセプトなどのアイデアを生み出せます。

生成AIが出したアイデアを人間が独自の知識をもとにブラッシュアップすることで、よりクオリティの高いコンテンツを作れるでしょう。

人間と生成AIがうまく分業できれば、常識にとらわれない革新的でクリエイティブなコンテンツ作りに役立つでしょう。

生成AIアプリのビジネスでの活用事例・おすすめの使い方


ここからは、生成AIアプリがビジネスでどのように活用されているかを紹介します。

具体的な活用事例や使い方を通じて、生成AIアプリが事業にもたらす可能性を探ってみましょう。

気になる活用事例・使い方が見つかったら、まずは実際に試してみることをおすすめします。

ビジネスアイデアの創出・壁打ち

生成AIは、ビジネスシーンにおけるアイデアの創出や壁打ちに利用できます。

人間一人ではどうしても思考の偏りや限界が生じ、これまでと似たようなアイデアになりがちです。

しかし、生成AIなら自分では考えられなかった視点からアイデアを量産できます。

さらに、顧客のフィードバック(FB)や自社製品の情報を学習させれば、自社の強みに特化した商品アイデアが出せるでしょう。

顧客ニーズや市場のトレンドに沿ったユニークな商品を生み出すことで、ビジネスの競争力の強化や市場シェアの拡大にもつながります。

自動応答チャットボット

生成AIは、自動応答チャットボットとしても活用できます。

オンライン上の問い合わせ対応などで生成AIを導入すれば、人員削減にもつながります。

そもそも生成AIには、文章での質問に対してまるで会話をしているような自然な返答ができる特徴があるため、チャットボットとの相性は良いといえるでしょう。

従来のAIは特定のキーワードに反応して定型文を返すことが一般的でしたが、生成AIなら顧客の悩みや問題を理解して適切なアドバイスができます。

顧客の悩みをダイレクトに解決しやすくなるため、顧客満足度の向上やビジネスの成長が見込めます。

顧客一人ひとりに最適化した販売活動

生成AIに顧客の興味や行動データを学習させることで、一人ひとりに最適化した販売活動が可能です。

学習するデータの例としては、過去の購入履歴や行動パターン、Webサイトやアプリの閲覧履歴、会話内容などが挙げられます。

生成AIはこうしたデータをもとに顧客の嗜好や興味を把握し、顧客が次に興味を持ちそうな商品やサービスを的確に提案できます。

顧客との関係性強化は、ビジネスを成長させるうえでも欠かせません。

顧客のニーズを先回りして提案できれば、顧客満足度の向上やリピーターの増加につながるでしょう。

生成AIを使う際の注意点


生成AIはビジネスシーンやクリエイティブな活動で役立つ一方、安易な利用にはリスクがともなう可能性があります。特に誤情報や個人情報漏洩、出力内容の質には注意が必要です。

ここでは、生成AIを使う際に注意すべきポイントについて解説します。生成AIを効果的に活用するためにも、あらかじめ確認しておきましょう。

誤った情報を提供する可能性がある

生成AIは、誤った情報を提供する可能性があります。

文章作成が得意なChatGPTなどの生成AIは、ある単語の次に来る単語として最も確率の高いものを出力する仕組み(確率分布)をとっています。

学習データから関連度の高い単語を選び取っているため、必ずしも正しい情報が出力されるとは限りません。

ときには、事実に基づかない架空の内容や不適切な表現が生成されることもあります。

したがって、生成AIが作成したコンテンツを使う際には、正確性を担保するためのファクトチェックが欠かせません。

個人情報を安易に入力しない

生成AIに入力する情報には注意が必要です。生成AIは大量のデータを学習して出力内容の精度を高める特徴を持っているため、安易に個人情報を入力することは避けましょう。

個人情報や機密情報などの秘匿性の高い内容を入力すると、生成AIを介して第三者に漏洩するリスクが生じます。

複数のデータを組み合わせて個人が特定できるような情報であれば、プライバシーの侵害につながる可能性も否定できません。

最悪の場合、サイバー犯罪に悪用される恐れもあるため、あらかじめ社内でルールを定めておくことをおすすめします。

アウトプットの質はプロンプトに左右される

生成AIは、プロンプトに基づいてコンテンツを作り出します。プロンプトがわかりにくかったり、指示内容が不足していたりすると、出力される内容の質も期待できません。

例えば、ふわっとした条件では一般的で抽象的な出力しか得られないでしょう。

生成AIを使いこなすためには、具体的な役割や細かい条件を指定するのがポイントです。思うような結果が得られなくても、すぐに「使えない」と判断せず、プロンプトを改善する姿勢が重要になります。

生み出されたコンテンツを感情という指標で図る製品は少ない

現段階において、生成AIはビッグデータをもとに機械的に応答をする機能が主流です。

ビッグデータは、一般的なデータベースソフトウェアが把握・蓄積・運用し、分析できる能力を超えたデータです。しかし、喜怒哀楽のような「人間らしい感情」や起承転結を含めた「物語の分析」といった機能に関しても機械学習で学習させることで対応できます。

クリエイティブな分野で生成AIを利用するとしても、感情やストーリーの分析には人間の判断や創造性が必要となるでしょう。

株式会社ジールでは、機械学習を感情分析に応用したAIサービス「STORYAI」を提供しています。人間の感情やストーリーを分析して改善点を提案することで、より洗練されたコンテンツ作りをサポートします。

STORYAIはコンテンツを機会学習によって数値化し、時系列データとしてグラフ化します。
独自指標で分析結果を表示し、また修正したコンテンツとの差分比較を行えます。
これにより、コンテンツを提出する前にPDCAのセルフチェックを行えるため、人間の根拠のない独断を防ぎ、効果的なコンテンツを世に出すことができます。

まとめ

日々進化する技術に振り回されることなく、事業の効率化やコスト削減を図るには、生成AIの活用に関する専門知識が欠かせません。

現状、AIは発展途上の技術ではありますが、スマートフォンのアプリでもAIを活用したものが出てきており、今後より多くの分野でAIの導入が進むことが想定できます。

株式会社ジールでは、「Azure OpenAI Service 検証プログラム」や「STORYAI」をはじめとする様々なAI製品やサービスを展開しております。

また、AIに関する様々なイベントやセミナーも開催しております。

社内の生成AIの社内活用に興味がある方は、まずはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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