公開日:2024年12月2日

更新日:2024年12月2日

ジールは、「データ分析・AI/BIコンサルティング」「データ分析基盤・AI/BIデータ活用環境構築」「データドリブン人材育成」「AI系ソフトウエア・IP開発」「クラウドネイティブインフラ支援」の事業を主軸に、データを最大限に活用しお客様のDXをサポートするDX推進事業を展開しています。
具体的には、DX構想策定のコンサルティングやデータ基盤構築、AIを主軸としたデータ高度利用支援や内製化の伴走型支援など、プロジェクトの全工程にわたって、最先端のテクノロジーと専門性による一気通貫のサービスを提供しています。

先にご紹介したジールの5つの事業について、データ活用・分析における昨今のトレンドや状況を踏まえながら深堀りする連載企画を、今回よりスタートします。 データ活用を軸に様々な事業を展開するジールのビジネス領域について、実際のところ、事業の責任者はどのように考え、どのような未来を見通しているのでしょうか。

インタビュー第1回は、「AI/コンサルティング領域」の事業について、執行役員 CTOデジタルイノベーション領域統括の瀧澤 祐樹(たきざわゆうき)にサービス内容から市場背景、将来の展望について話を聞きました。

 

プロフィール

株式会社ジール 執行役員 CTOデジタルイノベーション領域統括
瀧澤 祐樹(たきざわゆうき)

株式会社ジールの技術領域全般、およびコンサルティングやデータサイエンスチームの統括として、技術戦略の立案・意思決定・実行を担う。
前職の外資系コンサルティングファームでは、DX・データ関連のコンサルタントに従事。趣味は休日のスポーツ観戦をしながら美味しい食事を楽しむこと。

 

ジールの「AI/コンサルティング領域」とは?

――現在ジールで着実に成長している「コンサルティング領域」においてどのようなサービスを提供しているのか教えてください。

瀧澤:我々のお客様であるエンタープライズ企業においては、データ活用に関して一巡した印象があります。一方で、データ活用が社内で定着しない、あるいは思い描いた結果にたどり着けていないといった課題から、改めて次期データ基盤を検討されているケースが多く見られます。検討にあたりイベント等で最新情報を収集するなどされていますが、情報だけが先行してしまい、結局どこから何をデザインしていけばいいのか、一番重要な仕組みは何なのかといった悩みを抱える企業が数多く存在します。

そのような課題をお持ちのお客様へ、目指すべきロードマップや基盤構想を策定し、実施方針を提案するのが、我々のコンサルティングサービスです。具体的には、要件定義の前段階である計画フェーズにお客様のありたい姿を描くところからご支援します。そして、それをアーキテクチャーやテクノロジーに落とし込んだ場合のコンポーネントのご提案、導入フェーズについても優先順位を整理し、数年先を見据えたありたい姿までを見据えた全体像であるロードマップを描き、ご提案しています。

また、データ基盤を導入して終わりではなく、データ基盤の導入後の運用段階、つまりはお客様にとってさらに高度なデータ活用・分析が必要となったタイミングでもコンサルティングを行っています。

ジールはお客様のビジネスの状況整理から、課題の解決に向けたソリューションの提案、構築、運用・定着支援まで、プロジェクトを一気通貫で伴走支援していますが、コンサルティングサービスにおいては「入口(要件定義フェーズ)」と「出口(運用フェーズ)」の2つのフェーズで集中して支援するというのが大きな特長であると考えています。

 

――市場においても今後拡大していくことが見込まれる「AI領域」においてどのようなサービスを提供しているのか教えてください。

瀧澤:AI 領域に関しては、「ジールさんでも支援可能なのですね?」と驚かれがちなのですが、我々はこれまで30年以上にわたり「データ」領域を生業にしてきましたので、当然ながらAIにも注力しています。

AIは自社のデータだけではなく、データの量や質がどれくらいあるのか、どのような種類のデータをどれくらい保持しているかで、出てくるアウトプットが大きく変わります。先ほどご紹介したコンサルティングサービスで構想策定支援を我々にお任せいただければ、お客様とロードマップを描く際にAI領域を強化するステージも組み込むことが可能ですので、AI領域も無理なく着実に実装・強化できるようにご提案できます。


キャプション:最短3年先を見据えたロードマップでは、AI領域の強化もステージに組み込んで策定・提案する(図ではステージ3で「AI業務の高度化」を実現する)

 

――ChatGPTをはじめとする「生成AI」の急速な普及に伴い、生成AIに関する相談が増えたのではないでしょうか?

瀧澤:はい、「生成AI」についても問い合わせをいただくことが大変増えています。ただ、生成AIについても同様です。生成AIがトレンド化したこともあり、生成AIのみを対象としてお問い合わせいただくこともありますが、前提として、データがないと業務に耐えうるアウトプットは難しいです。

例えば、営業先に持っていくための資料を生成AIで作れるようにしたいという相談をいただいたとします。当然ながらそのためにはまずお客様の自社の情報がないといけませんし、これまでの商談履歴や、顧客情報もないといけません。場合によっては、いわゆる帝国データバンクなどの第三者機関が提供しているような情報も必要でしょう。
このようにそもそもベースとなるデータが揃っていないと、生成AIによるアウトプットはうまくできません。
生成AI単体に関する案件のお話をいただくこともありますが、誤解を恐れずに言うと、その前段階のプロセスがAIを組み込むには早い状態であることも多く、ショットでの開発は可能ですが、長期的にAIを生かせる状態まで持っていくのは難しいことが多いです。

AIをビジネスで活用されたいのであれば、やはり、前述のように数年先を見据えたロードマップを含む構想策定支援から一気通貫でお任せいただけると、長い目で見た時に費用対効果が高くなり、AI業務の高度化も実現しやすくなると考えています。

また、「Quick Win(小さく勝つ)」という姿勢も大切にしています。「ありたい姿」をいきなり全部実施しようとすると、当然ながらかなり大規模な開発になってしまいます。プロジェクトの初期段階は、投資対効果も分からない状態ですので、初期費用を最小限におさえてスタートするということができます。

データ領域やAI領域に関する課題をどこに相談していいか分からない場合、いわゆるコンサルティングファームなどにお願いするケースもあると思います。コンサルティングファームはシステム構築の支援までを対応範囲としている場合が多いですが、我々はお客様がデータ活用業務を高度化していくための方法までを一気通貫でコンサルティングできます。30年以上の間蓄積してきたデータ領域における知見や、マルチベンダーとして培ってきた幅広い製品知識と経験がありますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

 

「AI/コンサルティング領域」のあるべき姿とは?

――ジールが「AI/コンサルティング領域」に注力していく理由を教えてください。

瀧澤:SIer(システムインテグレーター)からの脱却が、メッセージとしてあります。これは私が統括しているデジタルイノベーション領域だけではなく、全社として必要だと思っており、SIerという肩書きやマインドセットを取り除き、我々は「課題解決者」であるという意識を持つ必要があると考えています。

だからこそ、コンサルティングの領域や、その先にあるAIなどのデータの高度利用の領域について、私が統括しているデジタルイノベーション領域がまずはそこをリードしていきたいと考えています。

 

「AI/コンサルティング領域」を強化していくために取り組んでいることとは?

――「AI/コンサル領域」をさらに強化していくための具体的な取り組みや考えを教えてください。

瀧澤:私はCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)という立場ではありますが、プロジェクトにも入り現場でも業務を行っています。ですので、チームメンバーに対し、お客様へレビューする姿や訴求手法などをしっかりと背中で見せていきたいと思っています。また、全社横断での重点スキルを強化する「F.C.D.T(Focused Capability Development Training)」という活動も行っており、ドキュメントやサンプルの書き方など、知識の伝達や後進育成の機会を積極的に作るようにしています。

また、私が統括しているデジタルイノベーション領域のメンバーには、ステークホルダーが多かったり、整理しなくてはいけない課題の量が多かったりなど、より難易度の高いチャレンジングなプロジェクトに参画してもらいたいと思っていますし、それを支援していきたいと考えています。
もちろん、今後ジールの事業を拡大していくために、育成だけでなく採用にも力をいれています。

 

「AI・コンサルティング領域」の強み・弱みとは?

――ジールにおける「AI・コンサルティング領域」の強みを教えてください。

瀧澤:大手SIerやコンサルティングファームはデータ領域だけを専門に事業を展開しているわけではなく、様々な分野を手広く行っています。それに対し、ジールの強みはデータ領域に特化して30年以上、あらゆる業界・業種のお客様を支援してきた専門性の高さだと自負しています。
我々はデータ領域を長年専門としてきているため、クラウドデータプラットフォームをミニマムに開発することもできますし、AI領域にも精通しています。データ領域においては、あらゆる対応ができますし、もちろんそれらすべてを一気通貫でご支援できるというのも強みです。

 

――それでは逆にジールの「AI・コンサルティング領域」の課題(強化ポイント)を教えてください。

瀧澤:課題は、テクノロジーや技術の種類などの「IT」という視点から思考してしまいがちなところでしょうか。私たちが作る仕組みは当然ながら様々な技術やツールの集合体である IT ・テクノロジーで作るものですが、この仕組みを使うのは実際に現場で業務をされているお客様です。

現在のジールの組織はある程度こうしたIT・テクノロジー別に分かれており、大手企業のようにインダストリー別にチームが存在しているわけではありません。その点に関しては今後しっかりと考えていきたいと思っていますが、まずはお客様の懐にきちんと入り込み、より「業務における課題」や「業態・業種特有の課題」への知識を深め、現場の業務担当者と同等に対話できるくらいの知識や経験を獲得しなければ「真の課題解決者」にはなれないと考えています。

 

今後の展望

――最後に、現在多くの企業から求められている「AI/コンサルティング領域」の事業をより伸長させることで、今後どのようなことを実現し、世の中へどのような影響を与えていきたいでしょうか。

瀧澤:一番強く思うことは、我々がご支援させていただくことによって、お客様の事業、業績、さらには株価など、企業価値向上に少しでも貢献できるようになりたいということです。

たとえば海外のイベントでは、データ領域において新しい機能が追加されたことを発表すると、それだけでものすごい歓声が現地であがります。データ活用への期待値が非常に高い証拠です。その点、日本の企業はデータ活用に対するプライオリティがまだまだ高くない印象です。その理由にはロールモデルが少なく、成功体験を積んでいないため、企業もまだ半信半疑な状態であるということが考えられます。
対して、アメリカでは「データ活用に関する技術がないと、他社との差別化ができない」というくらい、データ活用領域に関してプライオリティが非常に高いです。そう考えると、日本のデータ活用の市場はまだ発展途上であり、伸び代が十分にあるとも言えるのかもしれません。

だからこそ、データ活用の仕組み・データ領域における支援を、我々はこれからも提供し続けていきたいです。
まずは、データ分析・活用の情報系市場でトップとなり、ジールが市場に与えるインパクトをより高めていきたいと考えています。そうすることで当然ながら、「データ領域において日本ナンバーワン企業になる」というのは、そう遠くない未来に実現できると強く思っています。

 

ジールのコンサルティングサービス「構想策定コンサルティング」のご紹介

インタビューの中でご紹介したジールのコンサルティングサービスである「構想策定コンサルティング」は、データの価値の高まりは理解しつつも「どのように着手すべきかわからない」「検討はしているがなかなか先に進まない」といった悩みを解決します。

データ基盤構想策定は、3~4ヶ月かけてお客様とミーティングを重ねながら、基本的に下記のメニューで実施します。 データ基盤のデザインのベースを計画段階でアウトプットしたのち、実際に1stユースケースの構築やPoC(検証)を実施し、構想策定支援 の期間の中で正式にデザインします。ジールの知見や最新のトレンド、他社の事例をお伝えしつつ、お客様のご意見や意思を重要視して、 もっとも合致するもので進めていきます。

「構想策定コンサルティング」の中ではアーキテクチャブループリントをお客様と共同検討します。数年先まで見据えたデータ基盤の設計をご提案しますので、「点ではなく面でのお客様サポート」が可能です。

少しでもお悩みの方は「構想策定コンサルティング」はもちろん、データに関するあらゆるご相談を承りますので、ぜひお気軽にジールへご相談ください。

構想策定コンサルティングの詳細はこちら
無料相談・お問い合わせ

 

編集後記

瀧澤のインタビューでは、コンサルティングとAI事業は相互の関連性が深いことが強調されていました。
昨今AIが注目度を増す中、どの段階でAIを導入するかを、データ基盤構築の入口の時点で確実に検討し長期的な視点でロードマップに組み込むことで、真に活用できるデータ基盤やAI活用の最大化が可能となることを、読者の皆様にも受け取っていただければ大変嬉しいです。

本連載企画では、ジールが注力する各事業責任者がどのような未来を見通しているかを、お伝えしてまいります。
次回は、「クラウドネイティブインフラ支援」や「データ分析基盤・AI/BIデータ活用環境構築」事業領域についてのインタビュー記事をお届けする予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

新着記事