公開日:2024年4月17日

更新日:2024年10月9日

教学マネジメントは、大学教育の質を高めるだけでなく、新しい学生の獲得や高校・社会からの信頼につながることから、近年特に注目を集めています。

一方で、教学マネジメントの取り組みには法的義務があるわけではないため、熱心に取り組んでいない大学も少なくありません。

本記事では、教学マネジメントの概要やメリット、重要性などを詳しく解説します。

教学マネジメントとは?概要を解説


教学マネジメントとは、大学教育の場において使われる言葉です。

「卒業認定・学位授与の方針」「教育課程編成・実施の方針」「入学者受入れの方針」の3つの方針を軸に、各大学がどのような姿勢で教育に取り組んでいくかを示しています。

これらの方針を具体的に公開することで、その大学で学んだ学生が身に付けた能力や資質などが第三者にも伝わり、社会における信頼や支援を得られやすくなるメリットにつながるでしょう。

ここでは、3つの方針がそれぞれどのようなことを指しているのかを解説します。

卒業認定・学位授与の方針

卒業認定・学位授与の方針は、「ディプロマ・ポリシー」ともいわれ、教学マネジメントの軸となる要素です。

おもに、各大学が学部や学科ごとに設ける教育理念に則った、在学する学生の卒業認定や学位を授与するに値する学修の目標となる方針を指します。

知識や技能のみならず、コミュニケーションスキルや論理的思考、倫理観などを具体的に示し、卒業単位の取得と卒業要件をクリアしたうえでそれらの能力を習得した学生に学位を授与する、というものです。

つまり、卒業認定・学位授与の方針は、その学部・学科の卒業生が備えている最低限の能力の保証として機能する必要があります。

そのため、大学ごとの理念や特色を反映させた、具体的かつ明確な方針を立案しなければいけません。

教育課程編成・実施の方針

教育課程編成・実施の方針は、「カリキュラム・ポリシー」ともいわれ、前述の卒業認定・学位授与の方針を実現するための方針のことです。

卒業認定・学位授与の方針とかかわりが低い授業科目は見直しや廃止、不足している科目の新設などを行ない、目標達成に必要な授業科目を編成します。

既存科目の統合や科目間の相互作用、履修順序などの検討・検証も欠かせません。

また、学生と教員が卒業認定・学位授与の方針と各授業科目の関係を共有できるよう、目標や評価基準といった詳細が記載されたシラバスの準備も必要です。

入学者受入れの方針

入学者受入れの方針は、「アドミッション・ポリシー」といわれ、大学理念や学修目標に沿った求める学生像をまとめたものです。

大学だけでなく、学部・学科ごとに入学者受入れの方針が定められているケースもあり、学部・学科の特徴に合わせた詳細な方針が記載されています。

さらに、受験生が自分の目指したい進路に合う大学・学部を選ぶ指針にもなるでしょう。

また、入学者受入れの方針は、入学試験の選抜方法や出題内容などにも反映させることが重要です。

試験をとおしてその人物の適性などを判断することで、より大学の理念や学修目標に合う人物が入学できるようになります。

教学マネジメントがなぜ重要なのか


大学経営において、学費は大きな収入源であり、多くの学生を入学させることで安定した運営につながります。しかし、18歳人口の減少や大学全入時代の到来により、従来のように多くの受験生を集めることが難しくなっているのも実情です。

さらに、就活市場では学修成果を活用した採用が広がり、大学4年間の学修成果が重要視されています。

その結果、受験生はどのようなことを学べるのか、どのような能力が身に付くのかを入念に調べ、受験する大学を選ぶようになりました。

つまり、4年間支払う学費に対して得られる学修成果は、受験生が大学を選ぶ大きな指標となっているのです。

教学マネジメントを整えることは、学生本位の教育課程への転換となり、学生・社会に求められる教育機関として機能し続けることにつながるでしょう。

大学へ進学することが教育投資の一つとして選択され続けるためにも、教学マネジメントは非常に重要な役割を持ちます。

大学が教学マネジメントに取り組むメリット


教学マネジメントには、安定した学費の獲得につながる以外にもさまざまなメリットがあります。

ここでは、大学が積極的に教学マネジメントに取り組むメリットについて解説します。

職員のコミット力の向上

教学マネジメントで重要な点は、実践過程で発生した課題などを分析し、より学修目標の実現に適した授業科目・教育課程へ改善していく継続的なPDCAサイクルを作り出すことです。

教員は、学生や社会のニーズの変化などをきちんと感じ取り、定期的にカリキュラムの見直しなどを行なうことで、変化に対応した教育を実施する必要があります。

これにより、教学マネジメントでは教員自身の自律的に改善促進のきっかけになることもメリットです。

カリキュラム精査によるスリム化

卒業認定・学位授与の方針を実現するために、カリキュラムの細分化や授業科目の充実化を行なう大学が多い傾向です。

しかし、授業科目を増やしたことで、学生はある程度の能力は身に付けられても、実際に役立つ能力は得られないことも少なくありません。

そのため、教学マネジメントのPDCAサイクルでは、カリキュラムの精査も重要です。

学修目標の達成に不要な科目の廃止、関係性が深い科目の統合などをとおしてカリキュラムをスリム化します。

その結果、学生にとって本当に必要な能力を身に付けられ、卒業認定・学位授与の方針をより実現しやすくなるでしょう。

退学者の減少・抑制

現代の日本では、少子高齢化による18歳人口の減少により、学生獲得競争が激しくなっています。

その一方で、大学の退学率は改善されておらず、在学者の約3%が退学しているのが現状です。

学生が退学すると、大学は本来得られるはずだった学費を失うことになります。例えば、1年生で退学した場合、大学が得られる4年間の学費の1/4しか得られません。

そのため、安定した大学運営には、退学者の割合を減らし、多くの学生が卒業できる環境を作りあげることが必要です。

教学マネジメントでは、学生本位の教育環境を実現するために、退学の原因や原因改善のアプローチなどの情報も収集します。

退学に関するデータを大学全体で共有し、退学率減少に向けて取り組むことで、退学者の減少・抑制も実現できるでしょう。

受験生・高校からの信頼獲得

教学マネジメントへ積極的に取り組み教育の質を高めることで、学生の偏差値向上や就職率の増加といった成果が出ます。

その結果、受験先を検討している受験生や高校から高い信頼を得られ、受験生の確保につながるでしょう。

一方で、教学マネジメントで成果を出すためには、学生の学修成果や評価、目標への到達度などさまざまな情報をデータ化し、管理する必要があります

ZEUSCloud」は、教学マネジメントで必要となるデータ管理・分析をサポートするツールサービスです。

クラウドデータプラットフォームのため、大学内に専用サーバーを設置したり、専用ソフトウェアを管理したりするなどの必要がありません。

多彩なレポーティング機能も搭載していますので上記のようなさまざまな情報も直観的な操作で可視化できます。

大学の学生の成果や評価・目標到達度を正しく可視化することで、受験生や高校からの信頼獲得が期待できます。

詳しくは、こちらの製品ページで紹介していますので、ぜひこちらも参考にしてください

教学マネジメントはデータ管理が必須

教学マネジメントは質の高い教育を実践するために必要な取り組みですが、法律で義務化されたものではありません。

卒業認定・学位授与の方針などの設定だけを行ない、教学マネジメントを果たしたと感じている大学も多い傾向です。しかし、方針を設定するだけでは成果は期待できません。

教学マネジメントの具体的な取り組みには、多くのデータの収集したうえで分析、改善が必要となります。

せっかくデータを収集できても、それらのデータをさばき切れず、分析や改善にまで至らないことで、方針設定だけで終わってしまう大学も少なくないでしょう。

「ZEUSCloud」は、大学内のさまざまなデータやファイル形式を一元管理し、リアルタイムで可視化・分析参照が可能です。大学ごとのニーズに合わせ、教職員一人ひとりがデータやファイルを活用しやすい基盤を構築することが可能です。

また、クラウド型のサービスであるため、システムエラーに対するオンラインでのパッチ対応、常に最新のバージョンを利用できる、サポート切れの不安がないなど今まで抱えていた悩みも解決することができます。

学内に散在しているデータの集約・一元管理も含め、教学マネジメントを徹底サポートするツール網羅・サポートするサービスなのですので、大学内の情報管理体制を改善したい担当者の方は、以下のページもご確認ください。

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まとめ

教学マネジメントは、学生本位の大学教育の質向上を目指し、3つの方針に基づいてカリキュラムの精査や評価基準の明確化といったことに取り組むことを指します。

こうした取り組みは、教員のコミット力の向上や退学者の減少といった成果をもたらし、安定した大学運営にもつながるでしょう。

一方で、効果の高い教学マネジメントを行なうためには、大学内のさまざまなデータを活用しなくてはいけないため、万全のデータ管理体制の構築が必要です。

ジールの「ZEUSCloud」は、教学マネジメントに欠かせないデータ管理をサポートし、全教員が手軽にデータを参照できる環境を実現します。

これから教学マネジメントを積極的に取り組みたい担当者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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