本記事は全3回のシリーズとして、SnowflakeとTableauによるExcelデータからの分析レポート作成のデモンストレーションを実施します。 第1回では、データウェアハウスであるSnowflake(スノーフレイク)についてわかりやすく解説しました。
第2回(本記事)ではTableau(タブロー)とはどのようなサービスかを解説し、第3回では実際に手持ちのExcelを、SnowflakeとTableauとで優れた分析レポートにするデモンストレーションをご紹介します。
本記事は2023年5月24日に弊社で開催したオンラインセミナー『手持ちのCSV/Excelとデータウェアハウスを組み合わせたデータ分析との共有による一歩先のデータ活用~Tableau PrepとSnowflakeを使ってデータ活用のノウハウを教えます~』の内容です。
※第1回のレポート記事は以下よりご覧いただけます。
SnowflakeとTableauによる分析レポート作成のデモンストレーション(第1回)Snowflakeとは
目次
Tableau社とは
Tableauというサービスは、「綺麗なグラフが書ける、デスクトップツール」で有名になりました。 さらに、ここ数年はクラウド版が充実したことで、大勢でどこでも使える分析環境、すなわち「分析プラットフォーム」に成長しました。
以下の文章では、かつての企業名のTableauを「Tableau社」、サービス名のTableauを単に「Tableau」と区別し、まずはTableau社について解説します。
Tableau社(現・セールスフォース社)のあゆみ
Tableau社は、1997年にスタンフォード大学のコンピューターサイエンス研究室から始まり、2003年に設立、2007年にニューヨーク証券取引所に上場しました。 ビジネスインテリジェンス・ビジュアルアナリティクス・データプラットフォームを提供する会社です。
2019年にセールスフォース・ドットコム社の傘下に入り、2022年に社名を「株式会社セールスフォース・ジャパン」に変更しました。 したがって、今Tableau製品を販売しているのはセールスフォース社です。
社名は変われど、ミッションは一貫して「お客様がデータを見て理解できるように支援する」ということです。 そのため、Tableauはビジュアルの美しさと、視覚的・直観的な分かりやすさが特徴です。
その秘密は、創設者の一人にピクサー(ディズニーのトイストーリーなど)の動画作成者がいることです。 IT畑でない方も設計に参画したことで、Tableauは万人にとって分かりやすく、ビジュアルが美しい、画期的で独自のユーザーインターフェースを確立したのです。
さらに、セールスフォース社の傘下に入ったことで、AIの分野も充実し、予測や推奨もできるようになりました。
ここで、Tableauが世界で一番使用され、一番信頼できるツールであることを裏付けるデータを示します。 こちらは製品の信頼性を説明する表として有名な、ガートナー社のマジック・クワドラントです。
この表に載るだけで信頼性が高いと言えるのですが、Tableauはそのなかでも特に優秀な、リーダー(表の右上)に、11年連続で選ばれています。※1
※1:2023年時点。2024年現在では12件連続リーダーに選ばれています。
Tableauの特長
Tableauの特徴は、直感的でパワフル、誰でも短時間で習得可能ということです。
例えば、ドラッグ&ドロップで項目を移動すると、直ちにグラフが変化します。 Tableauはマウス操作だけで、かなりのことがカバーできます。
これに比べて、他のBI(ビジネスインテリジェンス)製品では、セルフサービスBIと謳いながらも、グラフ作成のために多くの設定画面を開いたり、公式を多用しなければならないものが多いです。
Tableauは、スモールスタート(小さい規模で素早く始める)が得意で、さらに拡張性もある統合プラットフォームです。 多くのデータソースに対応し、非常に柔軟な製品です。 レポート別や部署別にセキュリティをかけることができますし、柔軟に使用できます。
現在間違いなく、分析業界のリーダーはTableauです。 市場の普及率も高く、コミュニティが豊富で利用者が多いことも安心できる理由の一つです。 また、Tableauはお客様からのリクエストも、積極的に製品開発と機能アップに活かしています。
Tableauユーザー会
Tableauにはユーザー会があります。 活動は主にテーマ別の分科会で行われており、地域別、部門別等の研究グループが活発に動いています。
Tableau製品の位置関係
Tableauというと、右上のTableau Desktopをイメージされる方が多いでしょう。
Tableau Desktopではデータ接続・分析・ダッシュボード作成ができます。 その下のTableau Server/Cloudは、作成したダッシュボードを共有するWeb環境を提供する製品です。 このWeb環境で、ダッシュボードやPrepフローの開発を1から行うことも可能です。 一番左側には様々なデータソースがあり、その右側のTableau Prepでは、データの加工やフローの作成ができます。
Tableau Prepとは
Tableau Prepの概要
Tableau Prepは、分析前にデータを扱いやすい形に準備する、データプレパレーションツールです。 データのクリーニング・結合・計算・データ型の変換などが容易にできます。
エンドユーザーでも扱いやすいよう、視覚的・直観的に分かりやすいインターフェースとなっており、その時使える機能が表示されます(コンテキストメニュー、右クリックメニューと呼ばれます)。 また、必要な機能は選択すれば作れます。
Tableau Prepは、単独で簡易的なETLツールとして使うことも可能です。
ETLツールとは、日々の業務において蓄積されたデータを複数のシステム間で連携・活用できるよう、データ処理を行うものです。
抽出(Extract)・変換(Transform)・書込み(Load)の頭文字からETLツールと呼ばれます。 例えば、Tableau PrepをETLツールとして利用し、オラクルからデータを引き抜いて、Snowflakeに持っていくことが可能です。
データの抽出(Extract)については、Tableau Desktopと同様に、多種多様なデータソースをサポートしています。 どのような変換(Transform)ができるかは、後ほど詳しく説明します。
最後のデータの書き込み(Load)について、ポイントが4つあります。
①Tableau専用のhyperという圧縮形式で、Web環境に直接パブリッシュできます(Tableauではアップロードのことをパブリッシュと言います)。
②ファイル(ExcelやCSV)に直接書き込めます※2。
③10種類のDBに書き込めます(なお、次の記事でご紹介するデモンストレーションでは、下から2番目にあるSnowflakeにデータを書き込みます)。
④AIを搭載した分析プラットフォームを持つSalesforceとの連携も強化されています。
※2:Tableau DesktopまたはTableau Serverはファイル(ExcelやCSV)に直接書き込めますが、Tableau Cloudでは当機能は制限されますためご注意ください。
Tableau Prepのフロー
Tableau Prepのフローをご覧ください。 円のアイコンが入力データです。 その他の代表的な機能は、データを組み合わせるユニオン・結合・集計・ピボット・クリーニングです。 ここで登場した機能やフローの開発はTableau Creatorライセンスを持っていれば可能です。 デスクトップ版でもWeb版でも対応しています。
Tableau Prepの特長
Tableau Prepの特徴を紹介します。
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Tableau Desktop同様、様々なデータソースに繋ぐことができます。
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どこでどんなことをしているのかが視覚的に分かりやすいです。
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データプロファイリングでは、例えばフィールド前にデータが何件あるか、また値のばらけ具合などをグラフ化してくれます。
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結果を簡単にTableau Desktopで確認できます。
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フローをWeb環境にパブリッシュして、処理順序を決定するスケジューリングができます。
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最後に、Prepの開発はCreatorライセンスを持っていれば可能です。
Tableau Prepの開発画面
実際の開発画面を見てみましょう。 画面の下半分がプロファイル機能です。 どのようなデータがいくつあり、どう分布しているかなどが、視覚的に分かりやすくなっています。 不自然なデータがあれば、直ちに修正も可能です。 このように、見ながら開発できるため大変便利です。 さらに、データベースへの書き込みも可能です。
Tableau Prepの機能
Tableau Prepは10種類の機能があり、これらを組み合わせて、思い通りに構築できます。
代表的な機能
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クリーニングステップ:フィールド名の変更や、フィールドバリュー、値の分割といったデータに関わる細かいことができます。
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集計:サマリーを行えます。
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ピボット:「行から列へ」「列から行へ」両方向に変換できます。
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結合のジョイン機能:グラフ作成時にTableau Desktop等でジョインすることも可能ですが、多くの方が使うものは、予め結合しておくと効率的です。 そういう時にTableau Prepで、準備を整えるという形でデータを1つ作っておくのが良いでしょう。
その他ユニオン・スクリプト・フローの挿入・簡単なプログラムやスクリプトをコーディング・既存のフローをまとめてサブルーチン的に挿入する、なども可能であり、柔軟に使用できます。
Tableau Prepの2種類の製品とライセンス
製品名としては、BuilderとConductorがあります。
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BuilderはCreatorライセンスを持つユーザーがフローの新規作成、編集、パブリッシュ、手動実行をできる製品です。
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Conductorは、それに加えてフローのスケジュール実行が可能です。 これにはData Management Add-onライセンスが必要です。※3
Tableau Prep開発から運用のステップ
一般的な開発から運用へのステップについて解説します。 次の記事で紹介するデモンストレーションでは、Tableau Prep Builderを使用して、ExcelをSnowflakeに入れるフローを開発します。 Tableau Cloudにパブリッシュしてスケジューリングもできますが、今回は、スケジュールは紹介のみです。 更新されたデータをクラウド上のダッシュボードで見ていきます。
さらに、Data Management Add-onライセンス※3があると、Tableau Prep Conductorの自動実行機能が使えます。 さらに、カタログ機能(サイト上のすべてのコンテンツを検出してインデックスを作成し、メタデータを収集する)や仮想接続機能(データへのアクセスポイントを一元化)も搭載しています。
※3:「Data Management」、「Advanced Manegement」については、2024年9月15日で新規販売を終了し、Enterprise、Tableau+に統合されました。
ライセンス体系
Tableauは、ライセンスの購入により利用可能です。 ライセンスはCreator、Explorer、Viewerの3種類でシンプルです。 Creatorライセンスを購入するとDesktop、Prep、Web環境(ServerかCloudどちらか)を使えます。 10万円少々で3製品が使用可能です。
最初に紹介したTableauの位置関係で説明すると、Creatorライセンスは青線で囲っている全ての環境を準備できます。
Creatorライセンスはパワーユーザーが対象となり、Webの開発がしたい方はExplorerライセンス、閲覧のみをしたい方はViewerライセンスを追加する、という考え方になります。
基本ライセンスのオプションは2種類あります。 先程から出てきている「Data Management Add-on」があると、カタログ機能やPrep Conductorが使えます。
また、オンプレミスからクラウドへデータ移行する、マイグレーションサービスなども行っていますので、ご活用ください。
トライアルサポート
現在Tableau CreatorやPrepを持っていない方は、弊社のホームページにて、2週間の無料トライアルが可能です。 トライアルのサポートも行なっていますので、ぜひお試しください。
まとめ
本記事は全3回のシリーズもの「SnowflakeとTableauによるExcelデータからの分析レポート作成のデモンストレーション」の第2回として、Tableauについてわかりやすく解説しました。
Tableauがなぜこれほどまでに支持されているのか、またTableau Prep導入するメリットが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
シリーズ最終となる第3回では実際に手持ちのExcelをSnowflakeとTableauとで優れた分析レポートにするデモンストレーションを紹介します。
ぜひご覧ください。
第1回のレポート記事は以下よりご覧いただけます。
SnowflakeとTableauによる分析レポート作成のデモンストレーション(第1回)Snowflakeとは
更新日:2024年5月21日