このコラムは、Voicyをテキスト化し一部抜粋したものです。
今回はERPのソリューション営業をしているソリュエイさんです。
ERPについてのインタビュー回の記事です。
自己紹介
ソリュエイと申します。
「ソリュエイ」はツイッターのアカウントネームで、ソリューション営業の略です。
よろしくお願いします。
現在、従業員100名くらいの中小企業向けERPパッケージベンダーで営業をしています。
大学卒業以来ずっと同じ会社におります。
以前はマイクロソフトのAccessを使い小規模パッケージの開発や、導入や保守も行っていました。
今は営業とマーケティングが主な仕事ですが、人手が足りない時は、案件のプロジェクトマネージャーとしても稼働している「何でも屋」さんです(笑)
ERPパッケージについて
ERPはEnterprise Resource Planning※ の略語で、直訳では企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念という意味です。
※企業資源計画 – Wikipediaより
日本では「統合業務システム」とも言われています。
この統合業務システムという言葉自体も非常に曖昧で、言葉の定義は各ベンダーがそれぞれの考えに基づいてシステムを開発、提供しています。
私どもの考えるERPという概念には2つの条件があります。
①.経営者や管理者が意思決定を行うためのシステム
企業経営において業務とは、特定の団体を除いて営利目的です。
つまり経営者や管理者がいかに効率的にお金を稼ぐかという点が非常に重要になります。
そして企業経営においてお金の最終情報集積地は会計システムとなります。
したがって意思決定資料の根本は会計です。
経営者管理者が意思決定をするための財務会計、管理会計情報があることがERPの条件となります。
②.①の実現のために関連する情報が一つ「統合」されているシステム
2つ目の概念は会計に関する情報が一つのデータベースに統合されていることです。
企業の成長過程を例にすると、会社を設立した時に最初に税務申告を行う必要がありますので、そこを管理する会計システムは必要不可欠です。
しかし、実際会計システムでお金の管理をしてもお金は自動的に入りませんので、お金を導き出すために稼ぐ仕組みが必要です。
その仕組みを管理するために、システムを導入するわけですが、昔は手書きの伝票やワードやエクセルで管理したり、在庫管理など特定業務専用のシステムが個別にあったりしました。
経営者側は会計に関連する全ての数字を見て、次のアクションを考えなければなりませんが、各部署での会計に関連する情報が統合されていない、部署間データ連携後も整合性を取らなければならず、また出力のタイミングによっては数字が変動しているため、次の計画をスムーズに進めにくいという課題が出てきました。
その解決策がERPです。
したがって経営意思決定に必要な会計関連情報が、一つのシステムに整合性を保ちつつ集約されていることがERPの条件なのです。
ERP導入の効果について
ERPの根本は会計です。会計には財務会計と管理会計があります。
①財務会計
財務会計というのは、例えば税務申告や上場している企業の場合、株主に報告するための制度会計になります。
管理会計というのは、それぞれ会社ごとに分析するため内容が異なります。
②管理会計
管理会計は、大きく精緻化と予測の2つに分けられます。
精緻化
精緻化は細分化と同じ意味で、会計システムという財務諸表の内訳を指します。
ERP導入による効果として、財務諸表の内訳が綺麗にわかるかどうかがすごく重要で、例えば部門別、セグメント別、地域別、案件別など細かい単位に分けることによって、企業のストロングポイントや課題が分かりやすくなります。
この部門の案件では〇〇の費用がかかりすぎているためここを抑えるという様に、精緻化や細分化してわかりやすくなります。
予測
予測というのは、予算や見込みといったまだ実現していない未来の解決策を決定していく事です。
過去の実績を時系列で言うと、未来がマイナスになっているだけなので予実績対比や、その先にある見込み数値と将来起こり得る数値を元に、今の予測では来月こうなる、四半期の数字を見て今期の数字を予測し、今のうちに対応できることを考え対策を意思決定します。
つまり、細分化することにより現状を把握し、予測をしながら次のステップを検討する。
未来の情報とか、そういう細かい情報っていうのは、その営業や、購買といった業務側に数値を持っています。
その情報を一つのシステムに統合して情報連携の手間や、情報の抽出によるタイムラグが発生し、連携する時に誤った数字が入らない様に、会計指標や経営指標を、早期に正確に把握し早く対策できるようになり会社が儲かる、このサイクルがわれわれの考えるERPを導入する効果です。
プロジェクトが何億円という巨額な売上をたてた時、プロジェクトメンバーが5人の場合と30人の場合では利益率が変わります。
稼働している人数や稼働時間は、会計のデータから人事に関わる情報が必要になります。
そういう意味でERPの中には人事や勤怠情報が含まれてきます。
ERPは経営者や管理者が次の経営を決定するためのシステムなので、経営者や管理者にとっては早く情報を掴んで次の動きを見せることができます。
しかし現場の人たちにはあまり目に見える効果はありません。
『効果が出ていない』との声は、よく現場サイドから上がることが多いです。
経営意思決定は速くなるので結果的に現場の人は無駄な作業が省かれるため、会社の指揮官の為のシステムと言えます。
つまり結果的には必ず現場サイドにも効果は表れるのです。
経営者や管理者が誤った意思決定をしたために、無駄な仕事が発生し全く儲からない、給料も上がらないということを防いでくれるので、最終的には現場の方にもリターンがあります。
そういった面でも経営者や管理者の意思決定を迅速化するシステムなので、現場の方々は自分の業務が楽になるシステムを入れたくなります。
「部分最適」と「全体最適」と良く表現されますが、ERPというのはまさに「全体最適」のシステムで、その点が大きく違うところです。
会社のシステム化のステージが現場にケアしたほうがよい時にERPを導入すると失敗するので、現場を優先的に動かすためには、現場から全体へ目を向けるとうまく回ります。
組織化されていくと最初は業務システムを無理にERPの導入を勧めません。
つづきは後編で…
<後編>