このコラムは、Voicy をテキスト化し一部抜粋したものです。
今回はデータブリックス・ジャパン株式会社の竹下さんにインタビューした記事です。
前編では、AIがどのような業界で、どのように使われているのか伺いました。
後編では、AIを使ってみたいという方へ、データブリックスを導入し果たして成果はでるのか?という判断をするためのフレームワークのお話、また導入すると実現できることを事例をもとにお話いただきました。
データブリックス・ジャパン株式会社(以下データブリックス)は、データサイエンスや機械学習の領域で急成長を遂げたアメリカのユニコーン企業で、2020年の9月に日本支社も設立されています。
インタビューの中でコールセンターの話が出てきます。
データブリックスのテクノロジーは、ソフトバンクが携帯電話ショップやコールセンターなどバックオフィスのサポートや、日本経済新聞社のアプリ上で読む記事において、AIを利用してユーザーごとに記事をレコメンドする仕組みなどで利用されています。
▼後編 <後編>データとAIの民主化 データブリックス竹下さん
自己紹介
データブリックス・ジャパン株式会社の竹下と申します。よろしくお願いします。
▼データブリックス・ジャパン株式会社
実は私は大学の時に環境問題について取り組んでいました。
カーボンニュートラル、ESG、SDGsなど環境問題のキーワードによく上がりますが、データとAIで何かご支援できればというのが我々の思いです。
オープンソースに関しては、大量の処理データを処理するフレームワークを2013年より以前に彼らが開発しました。研究生の論文の様なところから始まり、その後世の中で役立てようという想いからオープンソース化し、今はさらにそれを企業でも使えるようにクラウドサービス化しました。
やはりオープン性はこの時代では重要で、皆さんにお使い頂きながらお知恵を拝借し社会に還元していくというのは良い流れだと思います。
データブリックスという製品について
データがあり、データから何かを生み出したいという気持ちがあればなんでも使えますという考えは1つの答えです。実際に分野も幅広く、ヘルスケア部門のアストラゼネカさんを例にとると、薬を作るにあたりいろいろな論文検索を世界中から行わなければなりません。
検索をより効率的に行えるようにナレッジシェアリングの仕組みをするため言語の解析をする必要があります。いわゆる自然言語解析、形態素分析を論文からキーワードを持ってきて、私がほしい情報はこれ!という様にナレッジシェアリングをより効率化させたり、遺伝子分析の「ゲノム解析」も、去年から今年にかけて取り掛かっているトピックの1つです。
●形態素解析 形態素解析は、「私は竹下です」という文章があったときに、そこから何か意味を見出さすならば「私は/竹下です」という文節に分かれます。
そういった区切りをつけながら、もう少し長い文章になるとそこから文章の中から感情を読み取ったり、よく出てくるワードを抜き出したり、整っていない文章データから意味合いを見つけ出していく要素となります。
自然言語処理
自然言語処理は、文字の中から特にパターンや傾向を取り出し、そこから何らかのアクションにつなげることができます。コールセンター業務を例にとると、電話応対の際、どちらかというと感情的になっていらっしゃるネガティブなお客さまの対応が多い傾向にあります。コールセンターでは、対応するスタッフの個々のスキルが大きく影響します。応対が非常に良ければお客さまを多少お待たせしたとしても、大きなクレームにはなりません。しかし、そうでない時には、適切な対応を瞬時にレコメンドしていく事が重要です。対応によってお客さまとの関係性が変わります。会話の中で用いた言葉からその傾向や感情を読み取り、それに対して何を答えるべきかといういわゆるネクストアクションを機械が行うと非常にスムーズなコミュニケーションが行えるという事例もあります。
最近の自然言語処理技術は、特に音声からテキスト化され、そのテキスト化された言葉を抜粋し機械が計算します。最終的に「あなたはこの言葉を用いてお客様へお伝えした方が良い」というところまで一連の動きが出来上がっています。
医療機関での画像解析の例ですと、肺の画像では、白く曇っていたら肺炎というように、お医者さんが1人で判断出来る所ではあるのですが、小さな体のシグナルみたいなところを見逃してしまうことは現実的によくあるミスです。それを機械やAIで判定し、この人は〇〇パーセントの確率でこういった症状があるという判定を人のサポートとして行う事もあります。
アメリカの動画の事例ですと、ガソリンスタンドに入ってきた人が全員安全なお客さまとも限りません。喫煙している場合は非常に危険ですし、銃を持っている人もいるかもしれません。
そういった点を店員さんが全部気づければ良いのですがなかなか難しい。
動画から画像を解析し危険を察知する「セカンドアイ=第2の目」として、瞬時に対処できるような仕組み作りを行っています。
お客さまの視点だと思いますが、お客さまの安全や満足度を高めるために、なかなか人の手だけでは手の届かない痒いところをAIが助けるというのも、1つの在り方なのかなという気はしています。
みなさんの中には、AIに対して人が行っていることを自動化してくれるというイメージをお持ちになる方もいらっしゃると思いますが、最近は「データとAIの民主化」と言われたりしますが、民主化と聞いてピンとこないかもしれませんが、やはり自分が仕事や作業をするという時に補佐官として、AIが働くのは1つのあり方ということで、それもひとつの民主化だと思います。
つまり先ほどの「セカンドアイ」もまさに異例で、ひとりでしかできない仕事を精度の高い仕事内容で人の3倍働けるというイメージです。
マクドナルドさんの例では、需要の予測や、レコメンデーションや最近の取り組みは、ドライブスルーなどAIが用いられています。実際にドライブスルーの店舗の外にカメラが付いており、入庫してきた際、乗車人数などからある程度の注文数を予測し、事前準備をしています。
また出来あがった商品を先ほどの画像や動画の分析にて、ハンバーガーやポテトの仕上がりの写真や作業工程の動画を撮影し、お客さまが注文したものに間違いはないか、人の手で作っていますので形状的に不備はないか、商品として提供するのに問題ないかという点をカメラや動画でチェックしています。
補足のお話しです。
レコメンデーションエンジンを作り、人工知能を使ってビジネスを立ち上げた方は、どうやら新入社員3年目の方でした。大学を卒業して3年目でAI機械学習による活動でグローバルに10億、何10億の利益を上げているという、なかなか輝かしく夢のある活躍だと思います。
2~3年あると新しいことがどんどんできるようになり、自信も湧いてきます。
そういったところも参考にしながら今後も取り組んでいきたいと思います。
後編へ続く…
▼後編