刷新前の課題と背景
多様化するお客様のニーズに応えるため、情報活用基盤の恒常的な安定稼働を狙う
日本最大級のゴルフ総合サイトを運営し、ゴルフのワンストップサービス(買う・行く・観る・つながる)を提供しているゴルフダイジェスト・オンライン(以下:GDO)。WEBビジネスが中心の同社では、質とコストの両観点から会員(お客様)が求める情報提供を継続するうえで、市場ニーズや販売状況を分析するだけでなく、様々な視点で情報分析をおこなう必要がある。
しかし、同社のマーケティング業務の要となっている情報活用基盤の構築からおよそ10年が経過し、多種多様のデータを格納しているデータウエアハウスにおいてハードウエア起因のシステム障害が多発しており、サービス提供状態を平常に戻すためには、その都度作業時間を要していた。
GDO UXD本部CRM推進部 情報活用分析チーム マネージャー 斉藤 鉄弥氏は「お客様のニーズを把握して、我々が持っているサービスを適切なタイミングでご提供・ご提案することを、理想通りには実現できていませんでした。そのため、弊社としては会社一丸となってシステムの刷新に取り組むべきだと決意しました」と語る。
この問題を解決するべく、同社はシステム刷新プロジェクトを立ち上げた。
プロジェクトの要件として、システム障害の原因となっていたハードウエアの老朽化、データボリュームの増加、利用目的の拡大に対し、「状況に合わせて可変できる環境」、「インターフェイス処理、データモデルの見直し」とし、さらに、ハードウエア保守費用、運用費用の削減を狙った。
事業戦略を担う情報基盤の刷新
ハードウエアからデータモデル、プログラムに至るまで、その最適解をジールが提案し、開発
ジールは、同社のこれらの要件を満たすだけでなく、さらに経営におけるKPIマネジメントの管理や、営業現場におけるタイムリーな情報取得、分析を実現させるためのシステム改善計画を提案した。ジールは、本システムの初期構築期から関わっており、そのサービスの質の高さと今回の具体的な提案を評価され、プロジェクト実施に至った。
今回ジールが開発したシステムは、ゴルフダイジェスト・オンラインにおけるビジネスを可視化、分析するための重要な基盤だと言える。データソースは、SAPをはじめとした複数の基幹システムで蓄えられているデータ、Google AnalyticsのWEBアクセスログなど多岐に渡る。
これらのデータの集計処理モデルを現行ストアードプロシージャから解析し、Talend(ETL)にて共通化・リファクタリングすると共にマイグレーションし、Redshiftへ最適なデータモデルで格納した。さらにデータ活用の視点においては、これまでの顧客分析、業績管理に留まらず、会員メール/サジェッションなどリアルタイム性を強く求められるマーケティング業務においても利用できる仕組みとした。
●クラウド化により、ハードウエア障害が低減され、スケールアップにも柔軟に対応可能になった。
●イレギュラーデータを考慮した処理設計、データ連携方式の見直しを行い、信頼性を強化させた。
●ETLサーバを冗長化することで、同時に並列処理を行った際の負荷を分散させた。
システム刷新後の効果
システムの安定稼働と業務での活用範囲の拡大を実現
データ連携モデルを改善したことにより、優先したい情報を素早く取得することが出来るようになり、意思決定時のみならず、日常業務においても活用することが可能となった。
また、システム刷新後の運用については、状況にあった運用改善提案をジールから受けられたことで、今では自社リソースで問題なくシステム運用ができており、安定稼働に繋がったという。
GDO UXD本部CRM推進部 情報活用分析チーム 本田 塁氏は、「クラウドに移行し、ハードウエアの障害、取り扱いデータ量の問題が解決できたことにより、スピーディーにデータを取得でき、お客様が求めている情報をタイムリーに提供できるようになりました」と話す。
ジールの支援について、GDO UXD本部CRM推進部 情報活用分析チーム 松村 正美氏はこう評価する。
「弊社のデータの特色として、予約データ・ショップデータ・ゴルフ特有のスコアデータ・アクセスログなど、多種多様なデータを扱う必要があります。そのため、それぞれのデータの特性を知る必要がありましたが、ジールはそれら全てを理解し、理想的な状態に整えてくれました。」
今後の展望
今後の利用拡大への備えを実現 さらなる発展のため、ジールの継続支援に期待
マーケティング活動の基盤となるデータベースを刷新することに成功したGDOでは、より一層、お客様に最適なサービスを提案するために、さらなる拡張を検討し始めている。
今後の展開について、本田氏は「既に大量のデータを取り扱っているとは言え、まだ取り込めていないデータもあります。例えば、ゴルフテックというサービスでは、スイングのデータから個人の癖や傾向を把握することが出来ます。このデータと蓄積された過去のデータを組み合わせた、リコメンド機能などにも活用し、よりお客様のニーズに合った顧客サービスを提供して行きたいと考えています」と話した。
最後に斉藤氏は、
「弊社でもさまざまな施策を実施しておりますが、ゴルフ業界や会社のみの閉じた世界では、どうしても偏った考えに陥りがちです。ジールには、IT技術+多様な業界での経験と知見を活かしたアイデアをご提供いただき、今までにはないものを生み出していけるよう、継続的な支援を期待しています」と締めくくった。