背景と課題
営業力の強化を目指し、データ分析基盤の構築に着手
セロリー株式会社 営業部 マネージャー
藤井 隆幸氏
1966年、岡山県倉敷市児島で創業したセロリーは、ユニフォームの商品企画・製造・販売を手がける老舗メーカーだ。女性用のオフィスユニフォームを主力製品に、清掃や介護、そしてオリジナルユニフォームまで多彩な製品を展開している。
近年、就業人口の減少などにより、オフィスユニフォーム市場は縮小傾向にある。「そうした外部環境の劇的な変化にも持続的な成長を目指して、顧客である販売代理店の拡販支援や、社内業務を効率化するためのさまざまなIT化に取り組んできました」と説明するのは、セロリー株式会社 営業部 マネージャーの藤井 隆幸氏だ。AI-OCRを活用した受注業務における手作業の削減や、AI推定採寸技術の導入によるコロナ禍での非接触採寸、および受注から納品までの業務フローの自動化はその1つだ。
そして、次なる一手として着手したのが、営業力強化を目的としたデータ分析基盤の構築である。これまでは代理店や製品、地域ごとの売上データなど、営業活動に必要なデータを入手するには、営業担当者が情報システム部に依頼し、基幹システムから抽出したデータをExcelファイルで出力してもらっていた。しかし、依頼からデータが得られるまでに平均2、3営業日を要していたことに加え、営業担当者がExcelファイルを2次加工していたことからさらにタイムラグが発生、最新のデータが反映しきれないこともあり、営業担当者の作業負荷増大も課題となっていたという。
「無駄な作業時間を削減するとともに、最新のデータを駆使した営業活動を行っていくためには、営業担当者自らが自由にデータを収集・加工・分析できる環境が不可欠と考えたのです」(藤井氏)
採用のポイント
クラウド型データ分析基盤「ZEUSCloud」を採用
手厚いサポートが決め手となり、パートナーにジールを選択
こうした課題の解決に、セロリーはBIツールを用いたデータ分析環境の構築を決定。各社のソリューションや提案を検討した結果、「ZEUSCloud」の導入に踏み切った。
ZEUSCloudは、ジールオリジナルのクラウド型データ分析基盤サービスだ。SaaS形式で提供されるため、自社でサーバーやストレージなどのインフラを用意する必要がなく、短期間でデータベースも含めた分析環境が利用できるのが特長だ。また、多種多様なデータ分析やレポート作成が直観的な操作で行えるため、BIツールに習熟していない利用者でも、すぐに高度なデータ活用・分析が可能となる。
この優位性に加えて、セロリーにとってスモールスタートが可能であることがZEUSCloudの選択理由だ。藤井氏は、「他社ツールの場合、スモールスタートと銘打っていっても30人以上という制約があったり、システム自体を買い取らなければならなかったりするなど、導入の敷居が高いものがほとんどでした。この点、ZEUSCloud は5人からでも利用できるため、効果を見定めながら徐々に導入を拡げていけると考えました」と話す。
「そしてジールをパートナーとして選んだ最大の決め手は、手厚いサポートでした。ZEUSCloud をテスト導入して検証を行った際に、ジールはこちらからの疑問や質問に対して早ければ当日、遅くとも翌日には回答してくれました。このような優れたサポートを常に提供してくれるジールがパートナーになってくれるなら、このプロジェクトを成功させられる、と実感したのです」(藤井氏)
※ZEUSCloudはAWSをプラットフォームに採用した、データ統合と分析をオールインワンで実現できるジールのオリジナルサービスです
導入のプロセス
技術と経験に裏打ちされたジールの優れたサポートにより、短期間でデータ分析基盤を構築
2020年6月にBIの検討を始めてから、ジールの支援のもと2021年2月にトライアルを実施。その後ZEUSCloudによるデータ分析基盤の導入は、先行して東京支店の営業担当者を対象に行われ、4月に本番運用へと舵を切っていった。
プロジェクト推進・技術支援のポイント①
既存の基幹システムや業務システムとのスムーズなデータ連携を実現
株式会社ジール データアナリシスプラットフォームユニット マネージャー
鈴木 翔
ZEUSCloudによるデータ分析基盤の構築では、既存の基幹システムや各種業務システムとのデータ連携が必須となる。
そんな中でもジールの支援のもと、ZEUSCloudへのスムーズなデータ統合が実現した。プロジェクトマネージャーのジールの鈴木 翔は、「藤井様やセロリー様の情報システムご担当者にも協力を依頼し、データ連携のためにファイル形式の変更を行ってもらいました。また、当初はいくつかのファイルがうまくZEUSCloudに取り込めないこともあったのですが、実際のデータをご提供いただき、どこに問題があるのか、ジール側で検証を重ねることで、解決策を導いていきました」と説明する。
プロジェクト推進・技術支援のポイント②
対面での会話が困難なコロナ禍でも、齟齬の生じないコミュニケーションに注力
ZEUSCloudの導入時期はコロナ禍の状況下で、対面でのコミュニケーションが困難な状況にあった。そうした状況においても、お互いの理解や解釈に齟齬が生じないようなコミュニケーションに努めたとジールの高梨 月霞子は話す。
「藤井様からのお問い合わせには主にメールで対応していましたが、時にはテキストの文面だけでは行き違いが起きる恐れもあります。また、こちらが思っている以上に藤井様が苦労されているのでは、と気になることもありました。そこで、直接コミュニケーションを図ったほうが良いと判断し、Web会議を開催して画面を共有しながら対話を行うなど、臨機応変に対応しながらプロジェクトを進めていきました」
株式会社ジール データアナリシスプラットフォームユニット シニアアソシエイト
高梨 月霞子
プロジェクト推進・技術支援のポイント③
効率的な操作の習得のために、その都度手順書も作成
ZEUSCloudの短期間での導入だけでなく、円滑に運用フェーズに移行できるよう、ジールは尽力した。高梨は「藤井様は積極的にZEUSCloudの機能の習熟や操作に取り組まれており、その過程でさまざまなご質問もいただきました。そこで、『どのように回答すれば最も分かりやすいのか』を常に考え、画面をキャプチャした操作手順書を作成したり、時にはWeb会議を開催したりするなど、工夫しながらコミュニケーションを図っていきました」と加える。
導入効果と今後の展望
最新のデータをビジュアル化して提示可能に
顧客への訴求力が大幅に向上
セロリー株式会社 東京支店 営業部
河野 傑氏
ZEUSCloudの導入により、セロリーは多くの効果を得ることができたという。その1つが提案資料の作成にかかる時間と負荷が削減されたことだ。セロリー株式会社 東京支店 営業部の河野 傑氏は「情報システム部門にデータ抽出を依頼する必要がなくなったほか、ZEUSCloudの多彩なレポート機能により、Excelの2次加工も不要となりました。これにより、1週間ほどの作業期間が削減されています」と説明する。
また、販売代理店に営業活動に赴いた際には、営業担当者はタブレット端末を用いてZEUSCloudにアクセス、その場で最新データを見せることができるようになったほか、グラフや地図などビジュアルをふんだんに用いた提案書が作成できるようになったことで、提案の説得力も大幅に向上しているという。藤井氏は、「情報が多彩なビジュアルによって提示されるようになったことで、営業担当者の発想の幅も広がっていると感じています」と続ける。
さらにZEUSCloudはデザイナーの業務効率化にも一役買っている。これまでは販売代理店向けプレゼン資料の作成にあたって、デザイナーが近隣地域のアイテム売れ筋状況や、他企業で採用された制服のデザインなどの情報を1つ1つ集め、手作業で地図上に配置していたという。「ZEUSCloudの導入により、地図とアイテムの販売状況が組み合わされたプレゼン資料が簡単に作成できるようになりました。デザイナーは煩雑な作業から解放されとても喜んでいます」と藤井氏は話す。
東京支店での導入効果を踏まえ、今後、セロリーは岡山本店をはじめ、東京以外の支店にもZEUSCloudの導入を進めていく計画だ。藤井氏は「受発注や生産管理・販売管理といった業務についてもデータを活用した効率化を図っていきたいと考えています。当社のさらなるデジタル化についても、引き続きジールの手厚いサポートを期待しています」と語った。
– 取材にご対応いただいた方 –(写真左から)
セロリー株式会社
東京支店 営業部 河野 傑氏
営業部 マネージャー 藤井 隆幸氏
※部署名・役職名は取材当時のものとなります
– 取材にご対応いただいた方 –(写真左から)
株式会社ジール
データアナリシスプラットフォームユニット マネージャー 鈴木 翔
データアナリシスプラットフォームユニット シニアアソシエイト 高梨 月霞子
※本事例内容は取材当時のものです