「データプラットフォーム技術の最前線」とは

外資系コンサルティングファームでの経験を活かしながら、常に先端技術をキャッチアップし、技術戦略の立案や意思決定を担ってきた瀧澤祐樹CTOに、「データプラットフォーム技術の最前線」について詳しく話を聞いた。

PROFILE

執行役員
CTO
デジタルイノベーション領域統括
瀧澤祐樹

株式会社ジールの技術領域全般およびコンサルティングやデータサイエンスチームの統括として、技術戦略の立案・意思決定・実行を担う。前職の外資系コンサルティングファームでは、DX・データ関連のコンサルタントに従事。趣味は休日のスポーツ観戦。

THEME01

データ活用のプロ集団に
高度なコンサルティングを融合

―まずはこれまでの経歴と現在の役割について教えてください。

私は現在、ジールで執行役員兼CTOを務めています。デジタルイノベーション領域の統括として、先端技術やAI、データ活用プラットフォームの構築を通じて、会社全体の技術戦略をリードしています。私が担っているのは、ジールが目指すべき方向性を示すとともに、お客様の課題解決に向けた新しい価値を提供する重要なポジションだと捉えています。

私のキャリアは、組み込み系エンジニアとしてIT業界に足を踏み入れたところから始まりました。その後、ジールに入社し、エンジニアや部長職を経験しました。一度外資系コンサルティングファームに移り、コンサルティング業務を通じて幅広いスキルを磨きましたが、退職後もジール社員と定期的にコミュニケーションを重ねる中で、再び戻る決意をしました。今ではその選択が間違いではなかったと確信しています。

―コンサルティングファームでの経験はどのように活かされていますか。

ジールでは以前からコンサルティング事業を手掛けてきました。ただ、外資系コンサルティングファームで経験してきた本当の意味でのコンサルティング、ビジネスの超最上流の部分に深く関わるという点では、まだ十分に足りていないと感じています。「システムを導入し、それを活用してどうビジネスを変えていくのか」という部分をこれまで以上に考える必要があります。そこで、この分野に先陣を切って取り組んでいるのが私たちのチームです。

THEME02

大きな変化を遂げた
データ活用のあり方

―データ活用を取り巻く環境はどのように変化してきていると感じていますか。

今日に至るまでにデータの定義そのものが大きく変わってきたと認識しています。かつては表形式のデータが主流でしたが、現在では多様な形式のデータを活用するようになり、これらのすべてが「価値を持つもの」として扱われています。

以前であれば、表形式のデータをビジュアライズし、意思決定に役立てるといった類のものがメインでした。それが今では「データをどのように活かして業務に付加価値を付けるべきか」「差別化を図るための武器としてどう活用していくのか」などを考える時代に突入しています。

ここ数年は新たに生成AIが登場してきたように、チャネルが日々多様化・複雑化しています。こうした中、企業が抱える課題を解決するためのプラットフォームを構築し、データの力を最大化するためのソリューションを提供するのが私たちの役目だと捉えています。

―目まぐるしい変化のなかで、ジールはどのような点に強みを発揮していますか。

ジールは30年以上にわたり、データ活用に特化したビジネスを展開してきました。この分野を専門的に掘り下げ、確かな実績を重ねてきた企業は、日本全国を見渡してみても他にはないでしょう。長い歴史のなかで培われてきた高い専門性と、全社員がデータに関するスキルを持ったエンジニアやコンサルタントであることが、私たちを唯一無二の存在にしていると感じています。

また、特定のメーカーやソリューションに依存しない「マルチベンダー戦略」を採用していることも大きな特徴になっています。これにより、お客様にとって最適なソリューションを柔軟に提供できる体制を整えることができています。

THEME03

生成AIによるデータ活用と伴走型支援の両輪で、
企業の未来を切り拓く

―現在はどのようなサービスに注力しているのでしょうか。

最近、特に注力しているのが生成AIです。私はこれを「データ活用の新たな形を支える重要な技術」だと捉えています。例えば、あるお客様のプロジェクトでは、社内のナレッジ共有を目的に大規模言語モデル(LLM)を活用したチャットボットを構築しました。このツールは、業務効率化や若手社員の育成に大きく寄与するとともに、属人的だった知識を平準化することにも貢献する画期的なものです。

ただ、生成AIが力を発揮するのは、技術を単に導入するだけでなく、それを使った具体的な業務改善や意思決定までを伴走する支援があってこそだと私は考えています。たとえば、AIを使った退職リスク予測のモデルを作った場合には、それを基にどう社員をフォローアップし、組織を改善するかまで寄り添うことが重要です。

―つまり最先端のシステムを導入するだけでは不十分であると?

そうです。システムの導入はあくまで目的の半分を達成したにすぎません。それを使ってどのように意思決定し、業務を変えるべきか。これをセットで考えなければいけません。まさにこの部分こそが、ジールが目指す伴走型コンサルティングの本質だと捉えています。

ジールは30年以上の歴史を持っているため、DX化に取り組む企業の1巡目だけでなく、2巡目、3巡目のタイミングでソリューションを提供する場面も増えてきました。ただ、こうした企業の中には、他社が1巡目として導入したシステムで思うように成果を上げられず、「これで本当に成功と言えるのだろうか」と悩んでいるお客様が少なくありません。

―DX化の取り組みがうまく駆動しない原因は何なのでしょうか?

お客様の話を詳しく聞いてみると、システムを構築するために1年以上の期間を要しているため、プロジェクトを発足させた当初の要件がすでに古くなり、最新のビジネス環境にそぐわないといったケースが多いようです。

そこで私は、長期的なビジネス目標を視野に入れつつ、短期間で効果を実感できる「クイックウィン」の考え方を重視した提案を行うようにしています。そして、小さな成功体験を積み重ねることで、お客様が徐々に目指すべきゴールに近づいていく。関係者全体で納得感が持てるようなプロセスを提示することが大事だと思っています。

―単にデータ活用の最新技術を提供するだけでは、ビジネスは変わらないわけですね。

どれだけ優れたツールを導入しても、お客様の組織や業務が変わらなければ、本質的な課題の解決には結びつかず、確かな成果も得られません。だからこそ私は、ジールが提供する価値は、「技術」と「コンサルティング」の両輪で成り立つものだと考えています。
具体的には、AIやデータプラットフォームを導入した後、その活用法や運用体制の設計、お客様自身が使いこなせる状態にするまでを伴走型で支援すること。これが、私たちが「お客様の課題を解決する」というミッションを達成するためのアプローチだと信じています。

ジールの目指す未来は、技術と人が共存し、ビジネスがより豊かになる世界です。私はこれからもデータの力を最大限に引き出し、お客様と共に新しい価値を創造していきたいと思います。

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